20代会社員が1人開発した「伊良コーラ」の正体 新商品の「瓶入りコーラ」は2万本が予約済み

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店舗は、祖父の良太郎さんが亡くなって以来、誰にも使われていなかった工房をリノベーション。下落合の地場産業として発展した染物屋が今もいくつか残っているので、地元の染物屋とコラボして伊良コーラの暖簾を作った。店舗名にもあえて下落合と入れて、「伊良コーラ総本店下落合」。店の前の遊歩道には勝手に「コーラ小道」と名付けた。

店舗に飾られた、祖父の伊東良太郎さんが1954年に開いた工房「伊良葯工」の看板。棚にはさまざまなスパイスが入ったガラス瓶が並んでいる(筆者撮影)

下落合の桜を楽しんでもらおうと、店舗は2月28日にオープンした。ところが、 桜が満開の時期が新型コロナウイルスとそれに伴う緊急事態宣言に重なってしまうというまさかの展開に。やむをえず雌伏の時を過ごし、改めて6月に入って通常営業を始めると、すぐに行列ができるようになった。

撮影に訪れた日、1人で店に来ていた女性に話を聞くと、昨年10月に国連大学前で開かれた東京コーヒーフェスティバルで、たまたま伊良コーラを飲んでその味が忘れられず、下落合まで来たそうだ。「新しいけど懐かしい味がするんです」と言って、ストローをくわえながら、遊歩道を去って行った。

数カ月前に下落合に引っ越してきたという若いカップルは、伊良コーラを初めて飲んで「うわっ! これは何回でも飲めるやつだ」「通っちゃうね!」とうれしそうにしていた。

小林さんのコーラへの情熱は尽きることなく、店舗では「ミルクコーラ」も味わえる。これは、自宅用のシロップを買ったお客さんから「ホットミルクを入れて飲んでいる」という話を聞いて新たに開発したテイストで、コーラシロップと牛乳、炭酸水が入っている。コーラに牛乳?と疑問に思う人が大半だろうが、小林さんの自信作である。

新開発の瓶入りコーラに予約殺到

会社の同僚に自作のコーラを飲んでもらったのが、2018年6月。それからわずか2年で独立、百貨店などに進出、店舗オープンと駆け抜けてきた。スタッフも10人まで増え、正社員を募集するまでに成長した。

しかし、小林さんの勝負はこれからだ。コーラを売って稼いだお金を投じ、満を持して瓶入りの伊良コーラを開発したのである。それまではシロップに炭酸水を注ぐという人の手が必要だったが、瓶入りになれば日本全国どこへでも卸すことができる。7月末に販売開始予定の瓶入りコーラ、すでに2万本の予約が入っているというから驚きだ。

この期待に応えることができれば、日本のカフェやバーでコーラを注文したときに、「コカ、ペプシ、イヨシ?」と聞かれる日も遠くないだろう。近い将来、海外で瓶入りコーラを生産することで、世界進出も見据える。あと5年で、2強にどこまで食い込めるのか。

「僕がやってきた調合とか調和って、東洋の文化に通じるものがあると思うんです。日本の和食も『和』の文化で、世界的に評価されてますよね。さまざまなスパイスを調合したヘルシーでおいしいクラフトコーラも、日本のポテンシャルを生かして世界に挑戦できるプロダクトだと思っています」

現在30歳。たった1人で始めたコーラ革命の第2章が、幕を開けた。

川内 イオ フリーライター

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かわうち いお / Io Kawauchi

1979年生まれ、千葉県出身。広告代理店勤務を経て2003年よりフリーライターとして活動開始。2006年夏、バルセロナに移住し、スペインサッカーを中心に各種媒体に寄稿。2010年夏に帰国後は、編集者としてデジタルサッカー誌編集部、ビジネス誌編集部で勤務。2013年6月より、フリーランスのエディター&ライター&イベントコーディネーターとして活動中。スポーツ、旅、ビジネスの分野で輝く才能やアイデアを追って各地を巡る。

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