自分の口臭に気づかない人に知ってほしい真実 ドライマウスの根本的原因はストレスにある

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プレゼンや、スピーチなど、緊張しながら人前で話す時になぜ口の臭いはひどくなるのでしょうか(写真:Ushico /PIXTA)
「歯ぐきがやせてきた」、「歯磨き剤がしみる」、「口内炎がよくできる」など、多くの人が口に関する不安を抱いています。特に、どの世代にも共通した悩みなのが「口臭」です。江上一郎著『すべての不調は口から始まる』を一部抜粋・再構成し、臭いが発生する理由とその解決方法をひもときます。

生理的口臭のうち、空腹時、緊張時、疲労時、病気のときはストレス時であり、ストレスと口臭は強く関係があると言えます。当院の口臭外来の患者さんの80〜85%の方は、「ドライマウス」が原因と診断しています。口の中が渇くのは唾液が出ていないからであり、口臭につながります。患者さんが多いのでくり返しますが、ドライマウスの原因は、何らかの疾患ではない場合、精神的ストレスと考えられます。

緊張時の唾液の量は、自律神経の働きによって、リラックス時よりも少ないです。例えば、重要な面談やプレゼン、スピーチ、試験の直前や上司に叱責されているとき、部下にイライラしているとき、誰かとケンカをしているとき、また、好きな人に告白をするときなど、緊張や怒り、また憂うつな場面で口の中が渇いた経験はありませんか。

心理的口臭の場合は、人が近くにいるだけでも緊張が続くことがあるので、電車やエレベーターに乗ったり、デスクの横に人がいたりするなどの場合は極度に緊張します。そういった場面では、交感神経が強く働いて唾液の分泌量が低下しています。

実はこのとき、口内の環境は急激に悪化します。唾液による殺菌・消毒作用が働かない状態であり、口の中の細菌は一気に増殖し、歯と歯ぐき、舌とあらゆる粘膜同士がこすれ合い暴れるとイメージしてください。そうすると、当然、口臭は強くなります。

リラックス状態が口臭予防にもつながる

つまり、ドライマウスを改善して口臭を予防するには、緊張の逆のリラックスした状態を保てばいいわけです。そのためには日ごろの生活習慣を見直すことが最重要になります。ストレスの原因を探って取り除き、できるだけ毎日ゆったりとする時間を設ける、また、唾液の原料である水を1日に1.5~2L程度、あるいはいつもより少しでも多く飲むようにして、栄養のバランスが整った食事を1日に3回とり、睡眠を7時間はキープしてぐっすり眠れるように気を配りましょう。

すぐに全部は無理でも、どれかひとつでも実行してください。仕事が終わった夜や休日は、副交感神経が優位に働くように30分でも意識をしてリラックスするようにすると、睡眠にも好影響が出てくるでしょう。まずは2週間の継続を試みると、体調の変化を実感できると思います。それは、自律神経のバランスが整いつつあるというサインです。そうすると、唾液は自然に増えるようになります。

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