COP15で露呈した温暖化阻止への茨道
「留意(take note)」。2週間にわたった議論の末、議長が発したこの言葉が会議の苦境を象徴していた。昨年12月、デンマークのコペンハーゲンで開かれた国連気候変動枠組み条約第15回締約国会議(COP15)は、2013年以降の地球温暖化対策の国際的枠組み作りに向けたコペンハーゲン合意を「留意」することに決め、正式な採択には至らなかった。
COP15は、08年から12年までの国際的枠組みである京都議定書に替わる新議定書の採択期限とされていた。しかし、09年11月の閣僚級準備会合の時点で議論はもつれ、議定書の採択を事実上断念。温暖化対策の方向性を示す政治的な「合意」を目指した。そうした中、中国やインドなどの新興国が京都議定書の延長を主張。日本やEUが強硬に反対するなど紛糾は続いた。
交渉決裂を回避したい先進国側は、温室効果ガス排出量削減について、新興国が反対した法的拘束力のある数値目標導入を先送りし、「12年までの3年間に300億ドル」「20年までに年1000億ドル」等の途上国支援を盛り込んだ。13年以降の排出量削減については、先進国が20年までの削減目標を、途上国が削減行動をいずれも1月末までに提示することを求めた。そうして、ようやくまとまったのがコペンハーゲン合意だった。