COP15で露呈した温暖化阻止への茨道


 COP15では、国連主導の交渉の限界も指摘された。発言力の高まりが目立った途上国の中でも、島嶼(しょ)国は温暖化の切実な被害を訴え、一部の国から挑発的言動が出るなど、参加国すべてが同じ土俵で議論する難しさが改めて浮き彫りとなった。環境エネルギー政策研究所の飯田哲也所長は「国連の全会一致方式は破綻している。議論のプロセスでは新しいルール作りが必要」と主張する。また「世界貿易機関の交渉に似ている。自由貿易協定のように地域や2国間交渉のように進めることも検討すべき」(前出の三木氏)という声も出ている。

宙に浮いた「25%」 産業界の反応は複雑

日本は「90年比25%削減」という中期目標を掲げて、COP15では会議の主導を狙ったが、出番は少なかった。その結果、25%削減も宙に浮いている。政府は年末の閣僚委員会で、条件付きで25%削減を提出することを確認したが、三木氏は「まずは(国内での削減分である)真水目標を示すべき。これがなければ国際的に評価されないばかりか、企業も対策を進めにくい」と指摘する。

数値だけでなく排出削減に向けた具体策にも、これから関心が集まりそうだ。だが議論はまだ始まったばかり。民主党のマニフェストには、国内排出量取引、地球温暖化対策税(環境税)、再生エネルギーの全量固定価格買取制度といった対策が掲げられており、排出量取引については11年度の導入が目指されている。だが、「キャップ設定から検証方法まで相当の準備期間を要するため、導入が遅れる可能性がある」(西村氏)。10年度導入を模索してきた環境税も、昨年12月発表の税制改正大綱で「11年度に向け検討」するとされ、先送りが決まった。

一方、産業界ではCOP15の評価が分かれている。日本鉄鋼連盟など主要9業界団体は、COP15期間中に京都議定書延長反対の緊急声明を出していたが、これが回避されたため、「毅然とした態度で交渉された」(宗岡正二・日本鉄鋼連盟会長)と政府を評価。さらには「25%減も国際的公平感や国民負担を踏まえ再検討すべき」(宗岡氏)などと、巻き返し機運が高まりつつある。

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