花王「メリット」がここまで末永く愛される理由 シャンプーに対する消費者意識は激変した
「パンテーン」(P&G)の日本発売は1991年で、今年で29年。アメリカでは1947年に別会社(リチャードソン・ヴィックス社)から発売されて以来、70年以上の歴史がある。1985年にP&Gが、経営が悪化した同社を買収。以後、自社ブランドとして積極展開する。
国内では中位ブランドだった時期もあるが、近年は好調だ。今回こんな声も聞いた。
「かつてはサロン系ブランドを使っていましたが、今はパンテーンのミラクルズというシリーズの、香りと仕上がり感が気に入っています」(美容意識の高い、女性会社員)
また「ラックス」(ユニリーバ)はシャンプーとしての日本発売は1989年と、今年で31年になる。日本ではヘアケア商品として、ハリウッド女優を起用したCMでも有名だ。グローバル市場ではスキンケア商品で知られる。
「プレミアム価格」と「ボタニカル系」
現在の市場特性について、仲田氏はこう解説する。
「価格帯別で言えば、近年『プレミアム価格帯』(シャンプー本体価格800円以上の中・高価格帯)のブランド・アイテムが売り上げを伸ばしています。花王では10年前と比較して、2020年は、プレミアム価格帯のインバスヘアケア市場における構成比は約2.6倍(※2)に拡大すると見込んでいます」
一方、メリットは同800円未満の低価格帯だ(花王ではリーズナブルマスと呼ぶ)。高価格帯では、例えば「アミノメイソン」(ステラシード)など、一般にはなじみの薄い商品が多く、「アルジェラン」(マツモトキヨシ)のようなドラッグストアPB商品も人気だ。
また、店頭を観察すると「ボタニカル」(植物系や植物由来)を訴求したシャンプーも目立つ。なぜこんな状況なのか。
「ヘアケア市場では、以前から『植物物語』(ライオン)に代表される植物系の訴求はありました。それが近年の環境問題や、経済状況などの生活不安から、シャンプーでもより安心・安全志向が高まったことが背景にあるのではないかと考えています」(仲田氏)
新型コロナウイルスの影響で、シャンプー市場の今後は不透明だが、外出自粛や在宅勤務でも、日常生活の中で髪は洗う。生活必需品なので消費意欲の低下も少なそうだ。
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