花王「メリット」がここまで末永く愛される理由

シャンプーに対する消費者意識は激変した

移り変わりの激しい市場の中で、メリットが人気ブランドでいられたのはなぜだろう。

「1970年の発売当初から『頭皮・頭髪の清潔を守る』という基本価値を大切にしてきました。競合ブランドが『美髪』『ダメージケア』などを訴求する中、基本価値をぶらさず、かつ、社会の変化・洗髪環境の変化に対応してきたことがポイントです。

例えば1991年には、シャンプードレッサーの普及、朝シャンブームを背景に『リンスインシャンプー』を発売。また、2001年には、洗髪回数の増加、マイルド意識の高まり、さらに家族回帰の潮流を捉え、『弱酸性』に改良。家族みんなで使えるシャンプーとしての地位を築きました。

ドラえもんの限定パッケージ(画像提供:花王)

2015年には、1人洗い(シャンプーを親介助なく自分ですること)を始めるお子さんに向けた、『泡タイプのシャンプー』も発売しています。時代とともに変化を続けながらも、いつも身近にあるという存在も、ご支持を受けた大きな理由ではないでしょうか」(仲田氏)

今年6月からは「ドラえもん」の本体容器(限定)も登場した。これは「同い年」(ドラえもんの連載開始は1970年1月)と、「家族で人気」という点に着目したという。

また、現在のCMでは、俳優の風間俊介さんと麻生久美子さんが夫婦役で登場。

「家族」を訴求した花王のCM(画像提供:花王)

子役と一緒に「帰ったらすぐ髪も洗おう」を掲げ、タレントのみやぞんさんの歌と演技(リーゼントヘアの髪型が変わる)も注目される。「外出時の汗」と「コロナ対策」もあるようだ。

消費者意識を踏まえ、「訴求の軸足」を変えた

仲田氏が語る、頭皮・頭髪の清潔を守るという「基本価値は変えない」はそのとおりだが、実はこれまで、メリットは何度か「訴求の軸足」を変えてきた。

1970年の発売時、メリットは「フケ、かゆみを防ぐシャンプー」だった。当時の消費者が髪を洗う頻度は平均して「週2回」。まだ内風呂のない家が多く(1970年の普及率は約50%)、ヘアケア意識も低く、中高年男性の中には固形石鹸で洗髪する人が多かった。

発売時はあまり人気が出なかったメリットも、数年経つと売り上げが拡大。CMで訴求した「フケ、なしね」という言葉が知られるようになった。ちなみにメリットと同世代の女優・石田ゆり子さんは10代から20代の頃、何度もCMに出演している。

当時は髪の清潔といえば、「フケのない黒髪」をイメージする人が多く、石田さんも黒髪のロングヘアだった。

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