現在は、人権配慮が著しく欠けている状況を反省し、バングラデシュ政府、欧州連合、国際労働機関(ILO)、米国政府、欧州アパレル企業、北米アパレル企業がそれぞれの社会的責任を負う形で対応を進めている。
いずれの事例も海外のケースだが、グローバルに活動する日本企業も無関係ではない。これらのリスクへの対応が十分でないと、企業に対する信頼の低下、NGO・市民団体・消費者からの不買運動、進出先国政府からの批判、といったことが起こりうる。また、間接的には、従業員の士気に影響し、製品・サービスの質が低下する恐れもある。
リスクをチャンスに変える先進企業
さて、近年、企業が巨大化、グローバル化することよって社会に与える影響がさらに増大している。そのため、大企業を中心に経済的利益の追求だけでなく、社会、環境などのCSRの取り組みが強く求められるようになっている。
KPMG が実施した2012年の「持続可能性のリスク」に関する調査によると、今後10年間で企業に高いリスクを与えるものとして以下の10項目が挙げられている。
1. 気候変動
2. エネルギー・燃料
3. 材料資源不足
4. 水不足
5. 人口増加
6. 都市化
7. 富(貧困)
8. 食料の安全保障
9. 生態系衰退
10. 森林伐採
これらは「メガリスク」と呼ばれ、世界の先進企業は、すでに将来的なリスクと認識している。ただ、それだけでなくビジネスの機会として捉え、自社製品・サービスのイノベーションに結び付け、市場の拡大、学習、コスト削減などにつなげようとしている。
たとえば、新エネルギーや再生可能エネルギーの開発・提供、海水淡水化設備、循環型経済へのシフトに関するイノベーション・教育・サービスの提供などは将来の新ビジネスとしても考えられる。
グローバル企業は人権問題を含めたサプライチェーン、気候変動など多くのCSR面の活動が求められる。だが、これらはコストだけでなく新たなチャンスとしても期待できるのだ。
企業評価の新たな視座として浸透してきたCSR(企業の社会的責任)。上場企業をはじめ有力1210社におけるCSRの取り組みを、国内最大規模のデータベースから各企業個別に紹介した、日本で唯一の刊行物。
→ 紙版はこちら → データ版はこちら
記事をマイページに保存
できます。
無料会員登録はこちら
ログインはこちら
印刷ページの表示はログインが必要です。
無料会員登録はこちら
ログインはこちら
無料会員登録はこちら
ログインはこちら