「Zoom」対抗馬が続々、ビデオ会議大競争の行方 グーグル、アマゾンが仕掛ける強力包囲網

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機能面でズームに追いつこうとする動きが鮮明になっているが、グーグルミートを含むオフィスソフト群「G Suite(Gスイート)」の事業を統括するグーグルのバイスプレジデント、ハビエル・ソルテロ氏は、東洋経済の取材に対して「(ビデオ会議の領域に)競合がひしめいているのは明白だ。ただ基本方針はユーザーに選択肢を提供すること。多くの人が信頼して使ってくれる製品を作っていくだけだ」と述べるにとどめた。

グーグルミートでは以前から会議の主催者に、ほかの参加者の承認や拒否、会議中のミュートや削除などの制御機能を提供している。また個人アカウントが主催した会議には、グーグルアカウントを持たない匿名ユーザーは参加できないようにしている。

「あなたが家に人を招待するとき、招待されていない人を招き入れることはないし、招待された人はドアをノックして、あなたは誰が来たかを確認して家に入れる。そうした社会の常識を考えて、ビデオ会議のサービスも設計されなければならない」。ソルテロ氏はそう指摘し、不審者の侵入を許したズームを牽制する。

グーグル「ハングアウト」は全面終了へ

4月末からは、グーグルミートを法人向けだけでなく、個人向けにも提供し始めた。同社はビデオ通話やチャット機能を持つ「ハングアウト」を2013年から展開しているが、法人向けは機能を拡充したグーグルミートや「Google Chat(グーグルチャット)」に順次移行する方針を示していた。ソルテロ氏は「個人向けのハングアウトも2020年中に終了し、ミートとチャットに移行する」と明らかにした。

グーグルのビデオ通話アプリ「Duo(デュオ)」はコロナ禍で利用が拡大。グーグルミートとの棲み分けは今後検討が進むとみられる(画像:Google)

コロナ禍では企業だけでなく、個人の間でもビデオ通話が大きく広まった。グーグルが従来提供するスマートフォン向けビデオ通話アプリ「Duo(デュオ)」は、「世界中で記録的な(利用の)伸びをみせている」(ソルテロ氏)という。

グーグルはこの5月、これまでバラバラの部門に散らばっていたデュオやミート、スマホOS「Android(アンドロイド)」に搭載されている電話やショートメッセージ(SMS)といった個人向けのコミュニケーションアプリ事業を1つの事業部に統合した。

グーグルはソーシャルメディアの「Google+(グーグルプラス)」やチャットアプリ「Allo(アロ)」などで撤退に追い込まれるなど、コミュニケーション分野は不得手とされてきた。新部門の責任者も兼任するソルテロ氏は、「グーグルのサービスのユーザーが、そのときどきのコミュニケーションに最適なツールを使えるようにするための明確な道筋を見つけようとしている」と話す。

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