リモート仕事で起きがちな「いらぬ心配」の真因 上司にメールを送ったのに連絡がない…

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翌朝、メールを確認した佐藤さんは、上司のねぎらいの言葉を読んで、上司が怒っていたわけではないことを知り、ほっとしました。そして、すぐに資料の修正にとりかかりました。そして、12 時を少し過ぎた時間に上司に資料を送信しました。

一方、上司はその日、昼食に出かけるまでに、佐藤さんからの返信が一切なかったため、佐藤さんがフィードバックの内容を理解しているのか、そして、そもそも昨夜送ったメールを見たのか不安になりました。電話をしようかとも思いましたが、自宅で仕事をしている佐藤さんに連絡するのはためらわれたので、昼食から戻った時にも佐藤さんからの返信がなければ、電話しようと思っていました。

この例では、佐藤さんは上司が指定した時間よりも前に資料を完成させていますが、お互い気疲れをしたのではないでしょうか。テレワークにおいて、このようなストレスが蓄積すると大きな問題につながりかねません。それでは、テレワークで生じるコミュニケーションの問題を解決するには、どうすれば良いのでしょうか。問題の解決方法を考える前に、テレワークにおけるコミュニケーションの問題が起きる原因を掘り下げて説明します。

コミュニケーション問題が生じる理由

ここで、コミュニケーションの問題が生じる理由を以下の2つの観点から分析します。

(1) コミュニケーションの頻度が減る
 (2) 一度のコミュニケーションで伝わる情報量が減る

テレワークでは情報の頻度と量が減るわけですから、全体で伝わる情報量は、大幅に減少します。コミュニケーション頻度と情報量は、以下の掛け算の関係で減っていきます。

全体の情報量 = 頻度 × 一度に伝わる情報量

例えば、コミュニケーションの頻度が半分、一度に伝わる情報量も半分となると、以下の図のように、全体の情報量は合計で1/4に減ってしまいます。

例えば、佐藤さんが上司と同じ職場で仕事をしていれば、その日の午後に、上司がトラブル対応で席にいないことは一目瞭然でわかります。上司の表情を見れば忙しいことがわかるわけです。外出から戻った上司に、提案資料はメールで送ってあることを口頭で伝えておけば、上司は「わかった、後で確認しておくよ」と答えます。佐藤さんは午後、別案件の仕事をして通常通り帰宅し、資料の心配をすることなく眠りにつくことができます。

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