日産社長が激白!「批判には結果で応える」 内田社長が語った過去の反省と再生シナリオ

拡大
縮小

――日産の販売が弱い欧州や南米ではルノーと協力し、日産も事業を継続していく選択をしましたが、そもそも欧州から撤退しないことについて疑問視する声もあります。

欧州ではモデルごとに見ると日産の車が一部の商品セグメントを創出したという自負もあるし、南米で販売する小型SUV「キックス」は年々シェアを上げている。

これからの市場の成長ペースを考慮して、どういう体制でやっていくのがいいのか論議した結果が今回の計画だ。例えば、ブラジルやアルゼンチンで提携パートナーから車を供給してもらうほうが当面いいとなればそういった形を採用するし、工場の生産ラインは縮小するのか拡大余地をみるのかを議論してきた。

それらの地域を軽視しているわけではなく、将来のポテンシャルを踏まえると南米もロシアもあると思っている。欧州に関しても日産ブランドを残していく意義があるし、そこでのセグメントクリエーターとしてやってきた自負もある。日産ブランドを維持して強くしていくことが今回の結論だ。

アライアンスの強みをフル活用する

――コア市場を日本と北米、中国に絞り込んで、商品・技術開発も自社の強みに特化し、アライアンスの3社(日産、ルノー、三菱自動車)間での役割分担を徹底する方針も掲げました。3社間での分業を機能させるためには何が重要になりますか。

アライアンスは3社の成長を支えるためのツールだという考え方は以前からまったくぶれていない。今のやり方を継続していくのか、もしくはアライアンスの力を借りるのか、または「選択と集中」の方針の下にあきらめる部分が出てくるのか。それは各社がブランドや市場の戦略をどう考え、商品ラインナップや生産拠点をどうするかで決まってくる。

欧州で期待していた収益を稼げていないが、現地から撤退するとは思っていない。欧州においてルノーはいろんな経験を持っているので、日産としてはそれをフルに活用していく。日産のモデルラインナップを考えたとき、Aというモデルは日産独自でやるよりルノーのプラットフォームなりルノーの車を日産が買ってくるという発想になる。生産を自前の工場でやるのか、パートナーに作ってもらうのかについても同様だ。

特定の分野・地域で1社がリーダーに、ほかの2社がフォロワーになるという戦略を導入したが、これは日産にとって大きなオポチュニティだ。仮にアライアンスがなかったら撤退を検討せざるをえなかった拠点も間違いなくあると思う。これはアライアンスの強みであるし、今後もフルに活用していく。

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