日産社長が激白!「批判には結果で応える」 内田社長が語った過去の反省と再生シナリオ

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――2000年ごろの経営危機ではカルロス・ゴーンCOO(当時、その後CEO)が主導して経営を再建しました。ゴーン氏は「コミットメント」を導入して新しい企業文化を創った一方で、自身が進めた過剰な拡大路線が現在の業績不振を招きました。

ゴーン氏個人うんぬんというより、過去21年間を振り返ると、業績を回復したうえで、グローバルな事業展開によって大きな成長を遂げてきた。私は2003年に日産に入社し、ルノーとの共同購買組織で働き始めた。

アライアンスというものは本当にすごい。お互いの文化を受け入れて、各社の独自性を維持しながら、競争力アップ、利益貢献のツールとしてアライアンスを活用する。そこの考え方は今も昔も何ら変わっていない。

内田誠(うちだ・まこと)/同志社大学神学部卒業。日商岩井(現・双日)を経て、2003年に日産入社。ルノーとの共同購買組織や購買担当役員などで実績を重ね、2018年から中国の現地合弁会社トップに。西川廣人前社長の辞任を受け、2019年12月に社長兼CEOに就任(写真:日産自動車)

(ゴーン氏が主導した)中期経営計画の「パワー88」(2011~2016年度)では、マーケットシェアや販売台数、利益を追い求めすぎた。バランスが重要だが、とくに台数を大きなKPI(重要経営指標)として持ってしまい、いろんな面で社内にひずみが出た。予算を作るうえで台数に重きを置き、目標達成のために販売奨励金を多く使うなどした。これは特に北米で日産のブランドにマイナスの影響を与えてしまった。

簡単に言うと、日産の車が本来は120万円の価値があるものだと思っていても、お客様にとっては100万円の価値しか持たなくなってしまった。結果論ではあるかもしれないが、ブランドを毀損してしまったということは事実だ。そういった点は反省しないといけない。

コミット&ターゲット(必達目標と努力目標)という言葉が社内にあるが、これは今でも重要だと思っている。目標を持つことは当たり前。ただ、目標なのか、目標を超えた範囲なのか、その見極めが過去にはうまくできていなかった。

長年の値引き文化、改革に想定以上の時間

――5月28日の記者会見で、「失敗を認めて軌道修正することに、これまで十分に向き合ってこなかった」と反省の弁を述べました。なぜ軌道修正にこれほど時間がかかったのですか。

生産能力の調整にはすでに着手していたが、今回は過度なストレッチ(背伸び)をしない前提で確実に利益を生める体質にするために生産能力の削減を進めていく。なぜ時間がかかっているのかと言われると、今回発表した事業構造改革計画「NISSAN NEXT」では、これまでビジネスパートナーと進めてきた仕事のやり方を少し見直さないといけないと考えたからだ。

例えば、北米では長い年月をかけて、(実力以上の販売台数を目指す)文化をパートナーであるディーラーと構築してきてしまった。(過剰な値引きをやめて)一気に販売の質向上に舵を切ったが、効果が出るのに想定以上の時間がかかっている。従来のビジネススキームを変えた結果、販売の質向上の意義を共有してもらうのに時間がかかってしまった。

ただ、セダンの「セントラ」に続いて、今後はSUVの「ローグ」など中核の新モデルが出てくる。これで車齢(前回のモデルチェンジからの経過年数)はこれまでの5年からさらに短くなり、競争力を発揮できる。時間をかけながらでも着実にやっていかないことには、みなさんから評価されるレベルにはならない。

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