「人間ドック」40代で受けたほうがいい人の特徴 目安は55歳以上、「上手な利用法」を徹底解説
50歳を超えてくると、「一度、人間ドックを受けてみたら」と、周囲から勧められることがあるかもしれません。とはいえ費用は自己負担ですし、職場や地域で受けている健康診断と、どう違うのか分からない、と気乗りしない方もいるでしょう。
また、働き盛りの方のなかには、いま体調には何の問題もないし、リタイアして時間に余裕ができたら一度ぐらいは受けてもいいかな、とお考えの方もいるでしょう。なかには、受診を考えてみたけれど、追加検査がたくさんあって、何を選べばいいのか分からない、とお悩みの方もいるかもしれません。
そこで、今回は人間ドックの上手な利用法についてご説明いたします。現在、私は愛知県大府市にある国立長寿医療研究センターで、「長寿ドック」という健康寿命の維持に重点をおいた人間ドックの責任者を務めています。
ここでは一般的な人間ドックを念頭に、健康診断との違いにはじまり、基本的な点について解説していきます。
健康診断と人間ドックの違いはどこか?
日本では、40歳から74歳までの方を対象に、勤務先やお住まいの地域で、「特定健診」が実施されています。これは生活習慣病の予防に力点が置かれており、検査項目も、その目的に沿ったものとなっています。
この特定健診の検査で重視していただきたいのは、脂質異常症(中性脂肪、善玉コレステロール、悪玉コレステロールの値)、それから高血圧、そして糖尿病と、やはり生活習慣病に関係するものです。
これらには痛みなど症状がないので、悪い結果が出ても放置してしまう方もいます。とくに血圧の異常値を放置する方がとても多く、それが私たちや、自治体の担当者の悩みの種となっています。しかし血圧異常や脂質異常症、糖尿病などを放置しておくと、知らないうちに血管が老化してしまい、のちのちさまざまな病気につながってしまいます。
特定健診の最大の役割は、こうした生活習慣病の予防であり、異常があれば早く治療につなげるというものです。それに特定健診の結果は、国の健康施策のベースになるものですから、私は外来の患者さんにも、「選挙の投票みたいなものです。特定健診は必ず受けてください」と、いつもお伝えしています。
ただ、特定健診だけでは悪性腫瘍(がん)や、脳出血、脳梗塞などの脳血管障害、心筋梗塞・狭心症といった虚血性心疾患について、細かくチェックすることはできません。また、私ども「長寿ドック」が得意とする認知機能診断や、骨折予防の骨密度測定などもカバーされていません。
人間ドックのメリットは、いま挙げたような病気、症状に関して、オーダーメイドで検査項目を組めるところです。
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