ファーウェイ禁輸で台湾TSMCが迎える正念場 米国に新工場建設で禁輸影響を免れるのか
5月15日、2つのニュースが投資家に動揺を与えた。
1つは世界最大の半導体製造ファウンドリー部門を有する台湾のTSMCがアメリカ・アリゾナ州における半導体工場の建設計画を発表したことだ。これはアメリカからの誘致を受けたもので、建設総額は120億ドル(約1兆3000億円)にのぼるという。
2つ目はアメリカの商務省が2019年に中国の通信機器メーカー「華為技術(ファーウェイ)」に対して行った禁輸措置を強化するという発表だ。
ファーウェイを切り捨てたのか
TSMCはファーウェイにとって主な部品製造依頼先の1つだ。しかし、激化する米中貿易対立の間で、TSMCが選択したのはアメリカへの工場建設だった。TSMCがアメリカ側に一歩、歩み寄った形だ。
この日、ポンペオ国務長官は高揚した様子でTSMCの劉徳音会長に感謝の意を示し、「この歴史的協議は米台関係を強固なものにしていくだろう」と強調した。だが、投資家の関心はTSMCのアメリカ工場建設が「中国を捨て、アメリカを選んだ」ということを意味するかどうかである。TSMCは売上高の14%を占める顧客・ファーウェイを本当に切り捨ててしまったのだろうか。
5月に強化されたファーウェイ禁輸措置では、ファーウェイと制裁対象リストに登録されている企業向けの製品提供に対し、より厳しい制限が設けられた。「アメリカ国外で生産された製品のうち、製造にアメリカの技術が使用された製品」をファーウェイ側へ輸出する場合、アメリカの許可が必要となったのだ。
例えば、日本で生産された部品であっても、その製造過程でアメリカの技術が利用された場合、ファーウェイに輸出するためにはアメリカの許可を取らなければならない。
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