ファーウェイ禁輸で台湾TSMCが迎える正念場

米国に新工場建設で禁輸影響を免れるのか

ではなぜTSMCはアメリカ工場建設を決めたのか。TSMCはアメリカに工場を置くことを条件に、何らかの形でファーウェイとの取引の許可を得るのではないかと考えられる。

TSMCの発表によると、2019年の同社の売り上げ構成比率の1位はアップルで23%、2位がファーウェイの14%だ。さらにJPモルガン証券のレポートでは、2020年上半期のTSMCの売上高は、ファーウェイ傘下のハイシリコンが20%近くを占めると予測されている。

ファーウェイやその関連企業のTSMCの売り上げに占める割合は、2017年時点で5%にすぎなかった。この3年で売上高が爆発的に伸びていることを考えると、ファーウェイがTSMCにとって重要な顧客であることは言うまでもない。

ファーウェイを失うと何が起きるか

ファーウェイ禁輸措置の猶予期間終了後、TSMCのファーウェイへの製品出荷に許可が下りなければ、TSMCの経営にどんな影響が出るのだろうか。ゴールドマン・サックスはTSMCの第4四半期の売り上げに影響が出ると見ている。長期的に見ると、TSMCがファーウェイを失った場合、2020年に売上高が5%減少、2021年に14%減、2022年に12%減になると予測されている。

TSMCが打開策を取れなかったとしても、悲観する必要はないという見方もある。TSMCほどの規模であれば、ファーウェイとの取引がなくても半導体市場でのシェアを伸ばすことができるというのだ。

半導体分野では現在、スマートフォンへの利用を想定した、より小さな半導体の設計・開発需要が高まっている。それはTSMCの顧客も同様だ。最先端の技術を有する企業はそれほど多くなく、前出の洪氏も「そのような技術が必要となれば、まずTSMCに依頼するはずだ」と話す。洪氏によると、5GやAIの開発が続くなかで、ファーウェイを失ってもTSMCの売上高が10%減少することはなさそうだ。

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