ファーウェイ禁輸で台湾TSMCが迎える正念場

米国に新工場建設で禁輸影響を免れるのか

JPモルガン証券も、ファーウェイ禁輸措置でTSMCが損失を被っても、うち70〜80%はアップルやザイリンクス、クアルコム等のアメリカ企業、台湾メディアテックとの取引で補填できるという見解を示した。

これから到来する5G時代、世界は米中の2つ陣営に分かれていくのは避けられず、より高度な情報セキュリティが求められている、と台湾の政府関係者は話す。

将来、米軍用の部品生産の可能性も

台湾の情報セキュリティについては、企業における営業秘密、すなわち、技術やプログラムなどの情報を保護し、流出を防ぐ「営業秘密法」が存在する。ただし、同法はまだ不完全な点もある。

政府関係者も「(営業秘密法が不完全という状況で)TSMCがアメリカに工場を建設するのは必然だった。(中国とアメリカ、どちらを選ぶかという中で)TSMCがアメリカを選ばざるをえないというのはわれわれも予測していた」という。

また、アメリカがTSMCを積極的に誘致したのはファーウェイへの制裁だけが目的ではないと見られている。来る5G時代に向けて、アメリカは安全で信頼できるサプライチェーンを必要としていた。TSMC新工場は将来、AI関連の部品だけでなく、アメリカ軍用の部品も生産するようになる、と台湾政府関係者は予想している。

TSMCの劉会長は4月の会見で、アメリカのファーウェイ禁輸措置は経営に影響を及ぼす可能性があると話した。しかし、「中長期的に見た場合、(半導体需要の)勢いは依然として存在し、われわれには成長の機会をつかむだけの力がある」と述べている。

アメリカのファーウェイ制裁強化のなかで、TSMCのアメリカ工場はどのような役割を果たしていくのか。いずれにせよ、これからTSMCにとって最も厳しい戦いが始まると言えるだろう。〈台湾『今周刊』2020年5月25日〉

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