保育士から相談を受けた竹井ようこ市議会議員は小平市に対して、保育士の声を伝え、「きちんと対応している保育園もあるが、非正規雇用の保育士が休業しても人件費を100%補償するよう、市としての通知を改めて保育園に出すべきだ」と何度も要望したが、「園の事情もあるため個別に対応する」と叶わなかった。
小平市役所の保育課に確認すると、「市にも直接、保育士からの相談が寄せられ、どの保育園かわかれば、保育園と話をしている。市としての正式な通知は出していないが、東京都による賃金に関する通知を添付して5月7日ごろに、各園に保育士への給与の満額支給を意図するメールを配信した。減収とならないような国の通知を事業者が知らないこともあるため、周知徹底に努めたい」と答えた。
竹井市議は、「市として通知を出す意味は大きいはず。国が特例措置をしているのだから、市はコロナ禍で個々の保育士が100%補償されているか、不利な立場になりやすい非正規が理由なく賃金カットされていないか調査し、毅然とした態度で指導すべき。正規と非正規に対応の差があってはいけない」と憤る。
参議院の厚生労働委員会でも紛糾
6月2日、参議院の厚生労働委員会では、竹井市議とともに保育士の窮状をヒアリングした石橋通宏参議院議員が、不当な賃金カットについて取り上げ、「国は実態を把握しているのか。常勤職員や非常勤職員を問わずに賃金を支払うということでいいか」と問いただした。
内閣府は「全体像は把握していないが、個別に問い合わせや相談を受けている。保育施設の収入を補償し、そこには非常勤職員の人件費も含まれている。通常の賃金を支給するよう自治体には指導を依頼している。同じ条件で自宅待機する常勤と非常勤を区別するのは望ましくない。非常勤にも適切に人件費が払われるよう指導したい」と明確に答えた。石橋議員は、「人件費を他に流用してはいけないということ。きちんと支払うよう指導をお願いしたい」と念を押した。
また、小平市では、小学生の子がいる保育者が「新型コロナウイルス感染症による小学校休業等対応助成金」の活用を事業者に拒まれ、賃金カットが言い渡されたケースがあった。竹井市議は「手続きの煩雑さを嫌って事業者が申請しない例がある。手続きの簡素化、雇用されている側でも個人申請できるようにする、職員から助成申請の申し出があれば事業者が必ず申請するよう義務付けるなど、制度の改善が必要だ」と指摘する。
石橋参議院議員も同助成金が活用されていないことや、相談窓口で「保育士が対象外」と言われているケースがあることも問題視し、委員会の場で改めて同助成金が保育士も対象であることを確認し、「子どもの未来をつくるのが保育士。常勤・非常勤で差別や区別のない、穴のない制度にし、助成金が分け隔てなく届くようにしてほしい」と国に要請した。
この「小学校休業等対応助成金」や「雇用調整助成金」は認可保育園なども対象になるかどうか、内閣府は4月21日に記事が掲載された段階では「正式見解を準備中」としていたが、5月29日に結論を通知した。
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