現代に子どもを育てる親たちはワガママ? 子育て阻む「言論」の壁

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「女性一人一人の生き方を尊重するというよりは、国のためにどう使っていこうかと考えているようにしか見えません」

日本総研主任研究員の池本美香さんは、「子育て支援」「次世代育成支援」という言葉にひっかかりを覚えている。

「子育て世代は国の将来のために役に立っているので、困っているなら助けてあげましょうという思想が透けて見える。子育てが幸せで楽しいものとなるように政府が応援するというメッセージではないのです」

良妻賢母? ごめんなさい、それ無理です!

コピーライターの境治さんは今年1月、哺乳瓶にまち針を刺した写真とともに、

「赤ちゃんにきびしい国で 赤ちゃんが増えるはずがない。」

というコピーをブログにアップした。フェイスブックなどで瞬く間に広まり、「いいね!」の数は16万を超えている。

「良妻賢母の幻想を女性たちに無理強いしてきたから子供が減った。『ごめんなさい、それ無理です』と女性たちが思っているのだ。そしてその押し付けは間違っているのだ」

炎上する話題だとは分かっていた。ことさらに厳しい現実を取り上げることで、厳しさを助長してしまう懸念もあった。実際は批判的なことを言う人はごく一部なのに、ネットで話題になると、誰もが赤ちゃんに厳しいように受け止められかねない。そこで希望を託し、「赤ちゃんにやさしい国へ」というタイトルで発信を続けている。

新幹線での子どもの泣き声をめぐって堀江さんとツイッターでやりとりをした病児保育のNPOフローレンス代表理事の駒崎弘樹さんも、子育て環境は変化するはずだ、と確信している。

「フィンランドが子育て先進国になったのはここ30年のこと。たった一世代分です。僕たちが変われば、僕らの子どもは楽になる。これは文化闘争ですが、決して勝ち目のない闘いではありません」

声を上げる資格や権利は、誰にでもある。言論は子育てを阻むこともあれば、最大の味方になることもあるはずなのだ。

(AERA編集部:小林明子)

※AERA  2014年4月21日号

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