武漢で前代未聞「大規模コロナ検査」進むワケ

「第2波」懸念払拭へ、全住民1100万人を検査

(写真:REUTERS/Aly Song)

武漢では、新型コロナウイルス検査用の綿棒を携行した医療従事者たちが建設現場や市場を練り歩いて出稼ぎ労働者を探す一方、高齢者や障害者に往診を行っている。当局は拡声器を使って検査を告知し、自分自身のために検査を申し込むよう住民に促した。

これは、コロナパンデミックが始まった中国中部の都市・武漢で行われているウイルス検査作戦の最前線だ。住民1100万人のほぼ全員に検査を行うという前代未聞のキャンペーンだが、開始から約2週間で650万人の検査を実施し、目標達成が近づいている。

数億ドルをかけ市民の90%を検査

「私たちの地域では、検査は1日で終わった」と、武漢に住む王媛(32)は言う。彼女は自宅近くに設けられた赤いテントの下に並び、防護服とフェイスシールドを装着した医療従事者に喉から検体を採取された。

検査結果は2〜4日以内に通知される見込みだ。

各国政府は大規模なウイルス検査を行うのに悪戦苦闘しているが、中国は何が何でも感染の再拡大を防ごうと都市全体の検査に乗り出した。住民や中国メディアの報道によれば、医療従事者を何千人と動員し、数億ドルの費用をつぎ込んだことで、この作戦は今のところ順調に進んでいる。

費用を負担する政府は、検査作戦が国民の信頼を回復させるカギになると考えている。経済の再開を推し進め、社会生活を正常化させるには、国民の信頼回復が欠かせない。しかし、感染者が少ない中でこのような資源集約的な作戦を行う必要性については、公衆衛生の専門家から異論が出ている。

最近検査を受けた人々や子どもを含めると市民の90%以上をカバーしたことになる今回の検査作戦により、武漢がアウトブレイクを封じ込めたことがおおむね確認された。検体の処理はまだ続いているが、5月26日時点で感染患者は200人程度しか見つからず、そのほとんどが無症状だった。

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