武漢で前代未聞「大規模コロナ検査」進むワケ 「第2波」懸念払拭へ、全住民1100万人を検査

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人口1000万人程度の都市の場合、10万人分ほどの検体を採取すれば、それで十分だったはずだ、と金は話す。全住民に検査を広げる武漢のキャンペーンについて、金は「ちょっとおそろしい」と語った。医療従事者の負担が大きくなりすぎるからだ。

中国疾病予防管理センターの疫学首席専門家・呉尊友でさえ、武漢市の全住民を検査する必要はないと述べている。

武漢の手法は、必ずしも他のすべての場所でそのまま取り入れられるようなものではない。

バッチ検査では、異なる人々の綿棒をまとめてプラスチック製のチューブに入れて、一度に分析する。陰性の結果が出れば、すべての検体の検査が完了したことになるが、陽性となった場合には、医療従事者はそのグループ内の検体を個別に検査し直すことになる。

これは感染率の低い地域でのみ機能するやり方だと研究者は言う。感染率が高くなりすぎると、ほとんどのグループで再検査が必要になり、グループ検査を行う意味がなくなるからだ。

同様の手法は、ネブラスカ州やサンフランシスコ・ベイエリアなどでも採用されているが、武漢ほど規模ではない。北京のある地区は5月、学校の再開に備えて、教師と生徒を3人ひとまとめにして検査すると発表した。

経済の麻痺のほうが高くつく

大規模検査の支持者は、これにより無症状感染者を含む武漢の状況をより包括的に把握できるようになると言う。武漢の大規模検査は、新規感染者が1カ月間確認されなかった後、6人の感染者が確認されたことを受けて開始されたものだ。

大規模検査の支持者の一部は、その真価は医療面よりも心理面にあると認めている。包括的な検査は高価だが経済の麻痺はそれよりもはるかに高くつく、と中国有数のコングロマリット・復星集団を率いる郭広昌は中国メディアに語った。

「検査をしなければ、人々の恐怖は消えない。多くの企業は生産を再開できず、サービス業の顧客も戻らない」(郭氏)。郭によれば、武漢での製造・サービス業の休業による1日の損失は60億元(約900億円)に上る可能性があるという。

(執筆:Sui-Lee Wee記者、Vivian Wang記者)

(C)2020 The New York Times  News Services

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