武漢で前代未聞「大規模コロナ検査」進むワケ 「第2波」懸念払拭へ、全住民1100万人を検査

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十分な検査キット数の確保に苦労した感染拡大初期の数週間とは対照的に、武漢市はこの2週間で検査能力を大幅に引き上げた。検体をまとめて検査することで、処理速度を上げられるようになったのだ。

検査作戦前に1日平均4万6000件だった検査数は、5月22日には1日あたり147万件にまで拡大している。一方、ニューヨーク州の検査数は、アメリカ『アトランティック』誌のコロナ追跡プロジェクトによると3月4日からの累計で170万件だった。

武漢市政府は住民を1人残らず検査する決意だ。「漏れをチェックし、検査の空白を埋めよ」。そう命じられた当局の担当者もまた、一軒一軒を訪ね、住民を登録し、最寄りの検査場所へと来場を促している。少なくとも1つの地域では公の告知で、検査を拒否した住民は政府発行の健康コードが格下げされ、就労および移動の権利が制限される可能性があるとの警告が出された。

同告知は「(検査キャンペーンに)参加しない場合、スーパーマーケットや銀行への入店が許可されなくなる」とし、「緑色のコードが黄色になり、生活に不便が生じる」と告げた。

武漢市政府は、検査が原因で感染することはない、と住民を安心させるためにさまざまな策を講じてきた。混雑を避けるために住民の来場時間は時間帯別に振り分けられ、検査は屋外で行われる。住民は検温に加え、マスクを着用し、互いの距離を保たなければならない。医療従事者は、検査を行う度に手袋を交換するか、消毒することが義務付けられた。

専門家からは「やり過ぎ」の声

しかし、武漢で確認された有症の感染者数は1ケタにとどまっているため、一部の専門家からは検査規模が過剰だとの指摘が出ている。香港大学のウイルス研究者・金冬雁は、これほどの短期間にこれほど多くの人を正確に検査するのは不可能だと話す。

金によれば、コロナウイルスの核酸検査は通常、病院で十分な訓練を受けた看護師が行ったとしても簡単に行える作業ではない。それを間に合わせの検査用テントで、これほど大規模に次々と行えば、大量の判定ミスが生じるおそれがある。

中国の検査キットや試薬の信頼性を疑問視する声もある。一部の国は、中国のメーカーが世界的な需要の急増に対応するために製造を急いだことが欠陥品の輸出につながったと訴えている。

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