「オンライン葬儀」を受け入れられない人の心情 コロナ前は「キワモノ」扱いされていたが…

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「『お墓参りに行きたいが、高齢や健康の問題で難しい』『お墓参りを他者にお願いしたいが、費用がない』といった少子高齢化時代の労力不足という社会問題に対して、解決のお手伝いをしたいと思って始めました」

「どこでもお墓参」は、阿蘇くじゅう国立公園内にある同寺院の樹木葬「天空陵」に対応しているサービスだ。お墓参りの様子をYouTubeでライブ配信するため、時間さえ合わせれば遠く離れた家族や親族と一緒にお墓参りができ、希望すればお墓参りの動画をDVDにすることも。料金は1万円(税込)。動画の長さは約10分だ。

「どこでもお墓参」はリリース後、36回の利用があったが、一部の人からは、「お墓へ行かずに、YouTubeでお墓参りだなんて!」「会わずに済ませるなんて、なんだか寂しい」「そこまでしなくても……」といった批判や疑問の声が寄せられた。

それから3年。

「コロナ前までは大きな変化はありませんでしたが、コロナ後は3密を避ける意味で、法事のキャンセルが相次ぎ、代わりに『どこでもお墓参』を用いたオンラインによる葬儀・法事の需要が伸びております」

同寺院では今年3月から、Zoomを使った「オンライン寺院・樹木葬見学」や、「葬儀・納骨相談」などを受け付け。4月1日からは、直葬から葬儀、お墓への納骨までを1日で行う「一日葬墓」というサービスを開始した。

「高齢者が多く集まる葬儀は、集団感染を招きやすい密閉、密集、密接の条件がそろいやすい儀式行事にあたります。そこで金剛宝寺では、人が集まることなく葬儀を行い、故人とのお別れができる、葬儀のライブ配信の対応を始めました。また、これから生じるであろう経済的困窮に対応するため、1日で葬儀から埋葬まで、必要なことはすべて執り行う『一日葬墓』を約50万円で開始。皆様の生活の防衛に役立つ、時代に適応した新しい葬送の形を提案させていただきました」

「一日葬墓」は、直葬と直葬後の即日納骨をオンラインに完全対応させたもの。従来であれば、葬儀から納骨まで、少なくとも2回は寺院に通うことになるが、1日で終えることができる。喪主や参列者たちだけでなく、僧侶や納骨業者側の労力も抑えることで、費用を極限まで抑え、なおかつ、オンラインを活用し、3密を避けることも可能にした。

「今までタブー視されていた葬儀周りのオンライン化が、コロナの影響で一般の人々に受け入れられるようになりました。これを機に、同じ宗教家としての僧侶なら、より社会課題の解決ができる僧侶を選択する人が増えるようになるのではないでしょうか」

Zoomを使った永代供養墓の見学や相談は、完全予約制で全時間対応。遠隔で相談から契約まで行うことができ、遠方に住む人や日中は仕事をしている人たちに好評だという。

コロナ禍で葬儀をライブ配信

最後に、コロナ禍をきっかけに「オンライン葬儀」を始めた葬儀社に聞いた。

東広島市の葬儀社「アイフィットさいきグループ」では、今年4月からオンライン葬儀「YouTubeLIVEで安心してスマ葬」を開始。3月下旬に広告を出し始めると問い合わせが増加し、5月末までで12件のオンライン葬儀を施行してきた。

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