「オンライン葬儀」を受け入れられない人の心情 コロナ前は「キワモノ」扱いされていたが…

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上田南愛昇殿の駐車場に入り、車上焼香システム専用レーンを車に乗ったまま進むと、受付がある。受付スタッフに渡されたタブレット端末を通じて参列者の名前や住所などを登録した後、焼香盆を受け取る。車の中で焼香を済ませ、受付スタッフに返却すると、ゲートが開き、外へ出られるという仕組みだ。

葬儀場内と車上焼香システム専用レーンにはそれぞれモニターが設置されており、葬儀場内にいる喪主や参列者は、車上焼香システムを利用する人を確認でき、車上焼香システムを利用する人は、葬儀場内の様子を見ることができる。

「車上焼香システムはオープン前、『葬儀に対して軽々しい』『葬儀の簡素化を助長する』などとSNSや電話で批判を受けましたが、オープンしてからはほとんどありません。車上焼香システムの利用者数について、具体的な数値はとっていませんが、オープン年より今年のほうが若干減っています。

コロナ禍で3密を避けることや、県をまたいでの移動自粛要請などにより、看板も連絡も出さずに、ひっそりと家族で見送る葬儀が主流になったことが影響していると思います。また、当初は珍しさだけで利用してくださった方も多かったですが、現在は本当に必要な方が利用されている印象です」

上田南愛昇殿を運営するレクスト・アイの久保田哲雄さんは言う。

3密が避けられる車上焼香システムは、コロナ禍にぴったりのシステムではあるが、とくに緊急事態宣言が出されてからは、葬儀への参加人数を減らすため、参列を施主が断ることや、訃報を連絡せず家族のみでひっそりと行われることが多く、利用者は増えていない。しかし、緊急事態宣言の解除により、従来どおり施主が各関係者へ訃報の連絡を入れるようになれば、今後、車上焼香システムの利用は増えるかもしれない。

「葬儀は究極の3密ですので、広い会場で換気や時間調整を行うなど、3密をできる限り回避する策を講じるとともに、上田南愛昇殿の車上焼香システムの販促に力を入れ、皆様の理解を得て、葬儀施行の提案をしていきたいと思っております」

長寿化が進み、高齢者や障害者は、今後も増え続けることが予想される。車社会の地域では、画期的なシステムではないだろうか。

現在、車上焼香システムを導入している斎場は上田南愛昇殿のみだが、もしかしたら今後、導入する斎場が増えるかもしれない。

「オンライン葬儀」から「オンライン納骨」まで

大分県と熊本県の両県にまたがる「金剛宝寺」は、1978年に設立された、高野山の流れをくむ真言宗の寺院だ。

住職の井上仁勝さんは、現在43歳。学生時代にITの勉強をしながらゲーム会社の就職を目指していたが、父親の寺院経営が危うくなったために、僧侶の道へ。30歳で住職に就任し、経営を立て直した。

井上さんは2017年3月、お墓参りを代行し、その様子を生中継するサービス「どこでもお墓参(どこでもおぼーさん)」をリリース。

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