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飲食店を「倒産」させるコロナより深刻な問題 NY名店オーナーが20年来の店をたたむ理由

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街のいたるところで、レストランで働く人々を支援するために独自の募金活動が行われており、この流行りに乗ろうと考えてはみたが、施しを求めているところを見られたくないというプライドを捨てることはできなかった。まるで人気投票やコネの競争のように見えて、参加する気になれなかったのだ。

同じ通り沿いにあるシーク教徒が経営する小さなデリが無視される一方で、プルーンがうまく寄付を集めることができたら、おそろしい気持ちになるが、そうでなければどちらも同時に潰れてしまうだろう。

集めた資金をどうやって分配すればいいのかも、倫理的な計算法を考えつかなかった。均等に分けるべきだろうか?スタッフの1人は21歳ですでにマンハッタンにアパートを所有しているが、別のスタッフは無職の妻と2人の子どもを抱えてブロンクスの賃貸に住んでいるというのに?私は元マネージャーたちに感謝を伝えたが、提案は断った。スタッフの状況を繰り返し確認したが、今のところは全員問題ないようだった。

この店の経済的な必要性を主張できない

パンデミックの渦中で、私の存在の必要性を主張するのはほとんど不可能に近いだろう。こんな時にスイートブレッドとパルメザンオムレツは必需品としてみなされるだろうか?経済的に見れば、プルーンの重要性をこれ以上主張することはできないと思う。

この近所や街にはプルーンのような状況のレストランが山ほどあって、その多くはプルーンより格上のレストランだ。中には、料理人や給仕係やバーテンダーだけでなく、人事担当ディレクターや料理本のゴーストライターを含めた100人もの従業員を抱えるレストランもある。

私は、「業界」にとって欠かせない存在である私のレストランの価値を突然主張しようとしているわけではない。アメリカの国内総生産の2%に貢献していることも主張するつもりはないし、1200万人のアメリカ人を雇用している1人であるからと、政府が私に援助すべきだと主張するつもりもない。

しかし、銀行や保険会社、業界のロビイストや議員たちには、こうした言葉が唯一説得力を持つようだ。それでも、私たちは従来の経済とは異なる、新たな経済システムの中で重要な存在だと願わなければいけない。私たちは今でも織物の中の1本の糸であり、その糸を引っ張れば、織物はほどけてしまうかもしれないのだと。

飲食店は立ち直れず、生き残れないだろう、と誰もが言う。これは少なくとも部分的には当てはまるだろう。すべての店がこの状況を切り抜けられはしないが、すべてが倒産することはない。しかし、どの店が生き残るのか、その理由は何か、この数週間考えずにはいられないにもかかわらず、決定要因を容易に見定めることができないでいる。

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【いつの間にか変わったレストラン「ビジネス」】

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