老舗タクシー、コロナで売り上げ7割減の衝撃度 大和自動車交通の前島社長が語る「業界の今」

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さらにすぐに従来の水準に戻るとは思えない。向こう3年程度は水準が十分に回復せず、キャッシュアウトが起きる可能性がある。その分についても資金のめどがたってきている。

うちのような大手でも厳しいのだから、規模の小さなところはもっと大変だ。都内だけでもタクシー会社は約400社ある。体力の限られる中小企業も多く、この状況が3カ月も続けば持たなくなるところが出る。

大和自動車交通の前島忻治社長。太陽銀行を経て大和自動車交通へ。2015年から現職(記者撮影)

――この状況をどう乗り越えていくつもりですか。

対策には3種類ある。自助、共助、公助だ。まずは内部留保や資金調達といった自助努力が必要だが、それだけで乗り越えられる状況ではない。自助努力では限界だ。業界としての共助もやっていく。タクシー協会など業界団体を通じて共通のクーポンなどで需要を喚起するべきだろう。

人が出歩かない以上、車両の台数を減らすしかない。当社で言えば、5月1日から31日までの間、都内の稼働台数を半分に減らしている。ほかのタクシー会社も多くが同じような状況だ。タクシーは公共交通としての役目もある。すべて止めてしまうわけにはいかないのが難しいところだ。

今は「公助」が何よりも重要

――そうした自助努力や共助にも限界があります。​

だから今は公助が何より重要だと考えている。雇用調整助成金の条件緩和や数百万円の支援金など、現状でも支援はあるが不十分。雇用調整助成金が実際に支払われるのには時間がかかる。資金繰りが苦しい会社にとって必要なのは当座の資金だ。従業員の賃金や家賃、光熱費、タクシー業界なら燃料費などの支払いもある。国にはさらなる公助を考えてほしい。

――従業員の感染対策は?

徹底した消毒やマスクの配布など、感染症対策を入念にやっている。だから、お客さんにとっても、車内は安心して利用してもらえる空間だ。本来タクシーはプライベートな移動手段。感染症が広まっているときだからこそ、個室ならではの価値を提供したい。しっかり消毒した衛生的な空間はそれ自体が価値になる。

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