国際帝石、3カ月で業績見通し「9割減」の辛苦 原油相場の急変でLNGプロジェクトに逆風

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原油急落で国際帝石のLNG(液化天然ガス)プロジェクトも影響を受けている。写真はイメージ。 REUTERS/Issei Kato

わずか3カ月で業績見通しを10分の1に引き下げーー。原油価格の低迷がエネルギー企業の業績を直撃している。特にダメージが大きいのが資源開発を担う企業だ。

原油・ガス開発で国内最大手の国際石油開発帝石(インペックス)は5月12日、2020年12月期第1四半期(1~3月期)決算を発表した。併せて通期の業績予想を大幅に下方修正し、純利益の見通しを100億円に引き下げた。2020年2月段階で示していた純利益予想は1450億円だったので、9割超引き下げたことになる(前期は変則9カ月決算で、純利益が1235億円)。

原油価格は年初の1バレル=60ドル程度から半分以下の価格に暴落している。最近は回復基調にあるが、新型コロナの影響で世界的な不況が見込まれており、年初並みの価格にまで持ち直すことは難しいとみられる。

原油価格下落でLNGにも影響

インペックスは世界20数カ国で約70の原油・ガス開発プロジェクトを推進している。2020年1~3月の原油・天然ガス生産量は日量61.3万バレルにも及ぶ。資源に強い総合商社、三井物産の日量25.2万バレル(2019年3月期実績)の2倍以上だ。

近年の収益を支えているのは、インペックスが中心となって開発するオーストラリアのイクシスLNG(液化天然ガス)プロジェクトだ。総事業費は約400億ドル(約4兆2800億円)で、産出した天然ガスを冷却して液化し、LNGとして日本などに輸出する。このプロジェクトの生産能力は年約890万トンで、日本のLNG輸入量の1割ほどに相当する。

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