国際帝石、3カ月で業績見通し「9割減」の辛苦 原油相場の急変でLNGプロジェクトに逆風

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ヨーロッパやアメリカのオイルメジャーでも巨額の減損が相次いでいる。2020年1~3月期にアメリカのエクソンモービルは約8億ドル、英蘭ロイヤル・ダッチ・シェルも約7.5億ドルの減損を計上。インペックスと同様に開発費等を抑制し、手元資金の確保に動いている。

また、シェルはアメリカのルイジアナ州で推進してきたレイクチャールズLNGプロジェクトからの撤退を決定し、複数のプロジェクトの最終投資決定も延期した。

もっとも、天然ガスは石炭に比べ二酸化炭素排出量が少なく、環境負荷が比較的小さいエネルギーとして注目されている。シェルによれば2019年の世界のLNG需要は前年比1割強増えた。現在はコロナ影響もあり市況は弱含みだが、中長期で見た場合、シェルは2040年までに世界のLNG需要は倍増するとの見方を示す。

待ち受ける重要なプロジェクト

インペックスには、オーストラリアのイクシスの次に控える大型LNGプロジェクトがある。2020年代後半の生産開始を目指すインドネシアのアバディLNGプロジェクトだ。生産量も年間約950万トンとイクシスと同等規模。世界の石油会社トップ10入りを標榜するインペックスにとって飛躍のための重要プロジェクトだ。

だが、現行の中期経営計画(2018~2022年度)で原油価格(ブレント)は1バレル=50~70ドルの前提を置いている。足元の30ドル台はこれを大きく下回る。原油価格の低迷が長期化すればアバディなど将来の開発計画にも影響が及びかねない。それだけに、今期の業績影響のみならず、中長期の原油動向にもいっそう神経をとがらすことになりそうだ。

大塚 隆史 東洋経済 記者

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おおつか たかふみ / Takafumi Otsuka

広島出身。エネルギー系業界紙で九州の食と酒を堪能後、2018年1月に東洋経済新報社入社。石油企業や商社、外食業界などを担当。現在は会社四季報オンライン編集部に所属。エネルギー、「ビジネスと人権」の取材は継続して行っている。好きなお酒は田中六五、鍋島。

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