ロケ場所探しから警官のご機嫌取りまで……低予算の映画をプロデュース、撮影現場ドキュメント《ハリウッド・フィルムスクール研修記11》
今回、私たちはユニバーサルスタジオからの厚意で「全品80%OFF」という大ディスカウントを得ることができました。ハリウッドでは「Student is the future」(学生が未来を担う)という考えが浸透しており、特に著名大学院の卒業制作プロジェクトに対してはフィルムの無償提供や各種サービスのディスカウントが充実しています。
この撮影期間中、将来AFI入学を検討しているプロの照明技師の方がわざわざ日本から手伝いに来てくれましたが、彼に「今回の映画を日本で作ったとすると、大体いくらくらいかかるか?」と聞いてみたところ、1000万円程度ではないか、との答えでした。
実際にかけている金額の3倍以上のバリューを出せるのは、学校からの機材等の無償支援だけでなく、多くの優秀なボランティアスタッフに加え、ハリウッド業界からの支援があってのものだと言えるでしょう。
撮影6日目
前日に引き続いて同じロケーションでの撮影のため、準備の手間もかからず、6日間のうちでいちばん楽な日になりました。
シーンの難易度や監督のやり方にもよりますが、ハリウッドでは1日に脚本3ページ(1ページが映画の中の1分に相当)分程度を撮影するのが通例です。今回の撮影でも毎日平均3ページを撮ってきましたが、5日目と6日目は2日合わせて4ページ分だったので、丁寧に撮ってもなお時間が余り、少し早めに終了。
その後、屋根裏部屋にみんなに来てもらい、6日間お疲れ様でした、の意味を込めてケーキや飲み物で簡単な打ち上げです。
最後の業務として、支払いが発生するスタッフにチェック(小切手)を渡し、レシートにサインをもらいます。メークアップアーティスト等の技術スタッフへの謝礼に加え、無料で出演してくれる俳優にも交通費として距離に応じたガソリン代を渡すことも組合のルールで義務づけられています。