ジム・ロジャーズが恐れる世界の最悪シナリオ リーマンショックとは逆の流れで経済悪化する
マーケットの下落のペースはロジャーズ氏にとっても予想外のものだったそうで、これほど大きく相場が下げたことは初めての経験だと話している。ただし、今回の下落の要因は「コロナウイルスだけではない」と主張してもいる。
これまでアメリカの株価はまったく下がらず、10年以上にわたり連続で上昇し続けてきたが、それもいまだかつて起きたことがない現象だ。とくに、下落直前の2〜3カ月に至っては一直線に上昇していた。つまり株は、限度を超えて高値をつけていたのである。
そのタイミングで、FRBは金利を引き下げた。また、企業債務も膨れ上がるばかりだったため、相場が下落する理由はたくさんあったということだ。
だからこそ、ロジャーズ氏は次のように指摘するのである。
リーマンショックとの違い
アメリカの失業保険申請数は、3月下旬には660万件にまで増加している。言うまでもなく、コロナウイルスの影響で苦境に陥った多くの企業が、数千人規模で従業員に解雇や自宅待機の指示を出していることが原因である。
もはやアメリカの失業率はリーマンショック時の10.0%(2009年10月)を大きく超えているが、ロジャーズ氏はここで、リーマンショック時と今回を比較している。
ところで今回のコロナ危機はパンデミックであるだけに、中世末期の欧州で流行したペストと比較されることも少なくない。例えばカミュの『ペスト』がここにきてまた多くの人に読まれていることからも、それは推測できる。しかしロジャーズ氏は、そうした考え方に否定的だ。
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