ジム・ロジャーズが恐れる世界の最悪シナリオ リーマンショックとは逆の流れで経済悪化する

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ロジャーズ氏の洞察力には定評があるだけに、迷うことなく断言されると、純粋な恐怖すら感じる。

おそらく、いや確実に、次に来る金融危機は私の人生でいちばんひどいものになるだろう。

アメリカ株式市場において、過去の歴史上、これほどのペースで株が急落したことはない。1カ月で25%の下落だ。3月16日には、1日で2997ドルの下落を記録している。1929年や19世紀の金融危機でもこれほど大きな下落は見たことがない。(11ページより)

株価が乱高下するのは、マーケットの参加者が疑心暗鬼になっているからにほかならないが、おそらく株価の値下がりは今後も続くことになるとロジャーズ氏は言う。それは「50、60、70%、いや、それ以上だろう」とも。

規模が大きすぎて実感しづらいが、無視するわけにいかないのは、“実体経済の落ち込みの先にあるもの”だ。いずれは金融機関の破綻をもたらし、金融システム不安を引き起こすわけである。

いつとは断言できないが、それは必ず起こる。次の金融危機が私の人生で最も大きなものになるだろう(11〜12ページより)

株価下落はウイルスのせい?

その理由としてロジャーズ氏は、2008年以降、世界中の債務がどんどん増えていることを挙げている。2008年の危機は、中国が持っているキャッシュを使い50兆円規模の公共投資で危機を脱した。

ところが今は中国でさえ債務が増え続けており、アメリカの債務も悪化している。FRBのバランスシートはここ12年で500%も拡大しているが、そんなことは過去にはなかったという。

日本でも、日銀が大量にお金を刷り、ETF(上場投資信託)や国債を買って債務を増やしている。中央銀行は、どんな手段を用いてでも金融危機は避けたいと思っている。

しかし、中央銀行も無限に債務を増やし続けることはできない。いつの日か終わりが来る。ある日突然、相場参加者のモメントが変わるときが必ずやって来る。その局面では、もはや誰も世界経済を救うことはできない。次の危機はそうした最悪の危機になると見ている。(12ページより)
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