――PCR検査拡充はなぜ必要なのですか。
検査して、感染者をトレースして、隔離、社会的距離を置いて、経済活動を確保することが重要です。検査をして誰が感染者なのか把握する。
韓国では、感染者自身と、濃密に接触した人を特定し、携帯電話の位置情報やクレジットカードなどの記録を利用して移動経路を確認し、データの一部は匿名で公開しています。イスラエルも検査拡充を進め、国防省が各種検査技術を開発している。韓国、イスラエルは現時点で、死者を200人台に抑えています。
検査拡充による感染実態把握ができないと、全員で自宅に引きこもる対策をとるしかなくなります。これは、わが国では一般的な対策ですが、最も原始的で経済損失が大きいのです。より積極的な対策が望まれます。市中感染をコントロールできないと、ステイ・ホームの効果も減殺されてしまいます。
懐疑論や消極論はあるが、それにしても
――医療関係者から、「野放図にPCR検査を拡大すると、偽陰性の人が安心して歩き回り、感染を広げる。偽陽性の人を含む軽症者が病院に押し寄せ、本当に陽性で重症患者のためにあるベッドがふさがれてしまう」という話を聞きます。
PCR検査をやってどこまで効果があるんですか、という懐疑論みたいなものは医療関係者の間にあったと思います。消極論も根強いと感じています。
しかし、諸外国のデータと比べて日本はあまりにも検査数が少なく、検査をやらなくていいのか、となると厳しいものがある。今後は、より早く結果が出る抗原検査や抗体検査と組み合わせて精度を高めていくことができる。
成田空港の検疫所ではPCR検査をどんどん行っています。これは、検疫法に基づく措置で、感染症法による行政検査とは違う仕組みですが成果を上げています。ドライブスルーなどの方法を取り入れる自治体も出てきました。行政のイニシアチブが必要です。
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