ポストコロナ「日本は必死で学ぶ必要がある」

「均衡」の概念に基づき文明観は問い直される

――対談の最後に、日本の課題について議論したいと思います。コロナ危機は現在進行形で、出口戦略もまだ見えず、その終点は予測困難ですが、日本はどのようにポストコロナに向かうべきでしょうか。今の日本に求められているのは何でしょうか。

細谷:人間は、なかなか変化できない。変わりたくても変われないという傾向を持っていて、本当の危機に直面しない限り、根本からの変革をすることができないのだと思います。

一方、近現代の歴史を振り返ると、日本は江戸時代末期の列強国による開国圧力と第2次世界大戦の2度の危機に直面しました。江戸末期からの危機は、明治維新と明治政府の近代化政策でなんとか乗り越えることができました。そのとき、日本も日本人も大きく変化しました。人々は髷(まげ)を切り着物を脱いでシャツをまとい、武士は刀を棄(す)てました。

第2次世界大戦では挫折を経験しましたが、その後の危機も自らを柔軟に変革することによって、どうにか乗り越えました。戦前と戦後では、日本人の価値観は一変しました。主権者は天皇から国民に代わり、戦争を放棄し、民主主義や人権を尊重する社会に変容しようとしてきました。換言すると、明治維新や敗戦後の変革があったからこそ、今の日本、現在の繁栄や平和があるのだろうと思います。

世界が一体となって共に闘う姿勢が必要

細谷:そう考えると、今われわれは、個人も国家や社会も大変な困難と試練に直面しているわけですけれど、だからこそ変わること、変革することが日本にとって重要なのだと思います。この危機をどのように乗り越え、どのように変わるかによって、恐らく、今後の日本の100年は決定します。

失敗すれば、先進国の地位から滑り落ち、国際社会で埋没していくかもしれません。むしろこの危機を、これまで変わりたくても変わることができなかった日本にとって好機と捉えて、変革によってうまく乗り越えることができれば、ビフォーコロナよりも日本がよくなっていくかもしれない。日本が国際社会でより尊敬されるような名誉ある地位を得て、よりいっそうの豊かさや平和を維持できるかもしれない。

そのためには、船橋さんのご指摘のとおり、一体感を持って国民の英知を結集しなければなりません。シンクタンクの役割もますます重要になります。長期的な視野から社会にポストコロナのビジョンを示す義務と責任があるのだと思います。

船橋:求められるのは変革ですね。私も同感です。パンデミックのような危機に際しては、敵も味方もありません。敵はウイルスです。他国でも敵対政党でもありません。

ですから、イデオロギーだとか価値観だとか、そのようなものは取り払い、全世界のすべての人々が同じ脅威にさらされているのだという意識を強く持って、命と健康を守るために、種を守るために、ありとある国々、人々が協調し一体となって、しかも、何も包み隠さず、あらゆることを「見える化」して、共に闘うことが必須です。

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