天馬の名誉会長が激白「役員は総退陣すべきだ」 収納ケース「Fits」の会社でお家騒動

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――藤野社長は前名誉会長が指名したんですよね。

まさかあの子が、育ての親(の私)を裏切るのかという思いだ。金田会長と組み、昨年の総会で役員の数を増やした時点で私から離れた。会長のせがれを取締役会に入れて、会長を自分の味方にすればなんとかなると計算したのではないか。そのような中で、本来は社長と社員の対立だったものが、金田家と司家という創業家間の対立へとすり替えられてしまった。

――2019年6月の総会では、経営体制強化のためとして取締役が2人増員されました。新たに取締役となったのが、金田会長の息子の宏常務と、のちに贈賄問題を正当化するための経費処理を主導した財務経理部長ですね。

昨年の総会後、彼らは自分たちの報酬を引き上げた。「おじさま、こういうことで給料を増やします」と報告にきて、私の報酬も月100万円が200万円超になるということだった。そんなにもらってはいけないと私は断ったが、会社に置かれた明細をみると200万円超になっている。自分たちの報酬を引き上げたいがために、私の報酬も上げたのだなと思っている。

昨年5月には宏常務が代表を務め、個人で8割以上の株を保有する会社に、天馬が6000万円も出資した。その出資についても、はたして正しい判断だったのか、疑問に思っている。

現在の取締役が主導する経営体制に対しては、外部から厳しい目が向けられている。天馬の監査法人であるあずさ監査法人からは、「本件事案(外国公務員への贈賄)についての適時適切な説明がなく、信頼関係が損なわれている」として監査契約の継続に難色を示された(6月総会までをもって監査法人ハイビスカスへの交代が決定している)。

私は「反社長派」ではなく「社員派」だ

――株主提案はどの程度の賛同を得られそうですか。

再出発のための役員総入れ替えを主張する(撮影:編集部)

筆頭株主のカネダ興産(長兄一家の資産管理会社)は、私の考えに賛同してくれている。司家と合わせて約24%の株主が賛同していることになるが、それだけでは過半に満たないので主な取引先株主にも手紙を書いている。

昨年11月に複数の社員が集って、藤野社長の解任を求める嘆願書を私や金田会長に出した。6月の総会で何も変わらなかったら、そのような声を上げた子たちがどのような目に遭うのだろうかと思うと、いたたまれない気持ちだ。

私個人としても、なぜこのような仕打ちを受けないといけないのかは理解できない。だが、彼ら(金田会長や藤野社長)を憎んでいるわけではない。彼らのやっていることを憎んでいる。

私は「反社長派」ではなく「社員派」として動いている。社員のために何とかしないと、私は死んでも死にきれない。

緒方 欽一 東洋経済 記者

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おがた きんいち / Kinichi Ogata

「東洋経済ニュース編集部」の編集者兼記者。消費者金融業界の業界紙、『週刊エコノミスト』編集部を経て現職。「危ない金融商品」や「危うい投資」といったテーマを継続的に取材。好物はお好み焼きと丸ぼうろとなし。

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