キリン、「物言う株主」を退けても残る重い宿題 イギリス投資会社の株主提案はすべて否決

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キリンHDの株主総会は新型コロナの影響で出席者が例年の半分に(編集部撮影)

「穏やかな株主総会だった」――。3月27日に都内で開かれたキリンホールディングス(HD)の定時株主総会。出席した株主の男性は、終わったばかりの総会の様子をそう話した。

新型コロナウイルスの感染拡大が影響したのだろう。総会出席者は例年の約半数ほどとなる475人にとどまった。感染防止を配慮し株主の質問は1人1問と要請をしたことで、質疑の時間も昨年の1時間13分から25分へと大幅に縮んだ。

今年の総会の焦点はキリンHDにとって初となる株主提案の行方だった。だが、提案者であるイギリスの投資会社、インディペンデント・フランチャイズ・パートナーズ(IFP)は、新型コロナの影響で来日を取り止め。IFP不在の中で諮られた同社の提案はいずれも否決された。

自己株買いへの賛成率は8.4%

キリンHD株の2%を保有するIFPが提案していた内容は大きく次の3つだった。①医薬や健康事業など非中核事業からの撤退と、と同事業の売却資金を元手とする上限6000億円の自己株買い、②株式報酬の比重を増やすなど取締役の報酬制度の見直し、③IFPが推薦する社外取締役2人の選任だ。

このうち自己株買いの提案は総会での賛成率が8.4%にとどまった。株主からの支持を得られなかった理由は、IFPが自己株買いの原資をファンケルや協和キリンなど「ビール以外の非中核事業」とする傘下企業の売却に求めたことにある。IFPは、人口減少の進む日本国内においても値上げや割引率の引き下げなどによって、ビール事業の成長は可能であるとし多角経営を撤回するよう訴えていた。

しかし、「(ビール事業の)一本足打法だとリスクがある。多角経営しなければ生き残れないのでこれからに期待したい」(先述とは別の男性株主)など、会社側の戦略に賛同する株主のほうが多かった。機関投資家の賛否に影響を与える議決権行使助言会社のインスティテューショナル・シェアホルダー・サービシーズ(ISS)やグラスルイスもキリンHDの立場に同意し、IFPの自己株買い提案に反対することを推奨していた。

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