返済変更の効果について触れると、例えば、①「返済期間を延長する」について、ローン残債が2500万円残っていて返済期間があと25年という人が、返済期間を5年間延長してもらうプランであれば、本来なら9.4万円の毎月返済額を8.0万円にできます(金利1%、元利均等返済の例)。
同じ例で、②「一時的な返済猶予」について、1年間は利息負担だけにしてもらうプランにしてもらえれば、毎月の返済額は2.1万円に。
ただし、いずれも、当初の返済計画よりも利息負担が増える点は留意が必要です。上記の例では、当初の返済計画に比べて、①では約68万円、②では約25万円も利息負担が増えます。費用対効果を見極めた判断が必要です。
このほか、毎月の返済が遅れた場合には日割で延滞損害金がかかるのが通常ですが、その支払いについても相談に乗ってもらえるところも。借入先の金融機関に相談するのが最善です。
なお、住宅ローンの返済が厳しく“なりそう”な段階で動くことも大事です。すでに滞納してしまっていたりキャッシングなどに手を出してからでは、基本的に相談に応じてもらえない点は留意が必要です。
延滞するとまずくなる当面の事象
延滞すると厄介なのは、逃げ場がなくなる点です。上で触れたように借入先の金融機関への条件変更などが難しくなるだけでなく、優遇金利の適用が受けられなくなり、適用金利が上がる可能性があるのです。
例えば、変動金利型の基準金利は10年以上2.475%で推移していますので、最近借りて0.575%の金利を適用されていた人であれば、1.9%もの金利優遇を受けている計算です。
この金利優遇は借入時にはあまり意識していない人が多いのですが、契約書をよく見ると、延滞すると金利優遇が受けられなくなり復活することはない旨の記載があります。つまり、0.575%で返済してきたものの、延滞後は2.475%が適用されて利息負担が格段に大きくなるわけですね。
ただでさえ、お金が足りずに返済できなくて延滞となったのに、優遇金利が適用されなくなって今後はずっと高い金利が適用されるとなれば、じり貧になってとても返していけるとは思えません。そして、延滞が続けば、一括返済を迫られて、競売や任意売却、自己破産への道から引き返すのが難しくなります。
そうなる前に借り換える手もありますが、延滞してからでは応じてくれる金融機関はまずありません。借り換えするなら延滞してからでは遅いのです。そのうえ、団体信用生命保険による保障が得られなくなる可能性もあります。団体信用生命保険の保険料は利息分から充当するしくみなので、延滞すると保険料未払い状態となり、保障がなくなるタイミングが来ます。
例えば、新型コロナや震災などで亡くなっても、その前に延滞していて団体信用生命保険が切れていると、住宅ローンは返済免除にならない危険性があるのです。延滞してもいいことはありません。家計が苦しくなっても、延滞だけは絶対に避けたいところです。
無料会員登録はこちら
ログインはこちら