コロナと共存する私たちに絶対欠かせない備え 環境と身体を考慮してすべて見直す必要がある

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今回のパンデミックでは、他国の人々を「自分たちとは関係ない」と考える言動が横行し、他人事のようにスマホの画面をスクロールする光景が頻出したが、他者の身体を無視することはかえって感染拡大を助長してしまい、巡り巡って自らに降りかかることになる。けれどもこの場合の他者はあくまで「人間」に限られている。

霊長類学者のジェーン・グドールは、「われわれが自然を無視し、地球を共有すべき動物たちを軽視した結果、パンデミックが発生した。これは何年も前から予想されてきたことだ」と語った(コロナパンデミックの原因は「動物の軽視」 霊長類学者グドール氏/AFP/2020年4月12日配信)。森林破壊によって多くの種の動物たちが近接して生息せざるをえなくなり、その結果として病気が動物から動物へと伝染を繰り返し、最終的に人間に伝染する可能性が高まるというのである。

環境と身体を考慮しなかったことのツケ

この動物たちの軽視は、前述したわたしたち自身の「身体性=動物性」の軽視と間違いなく裏でつながっている。自他の生命、「身体」というミクロレベルと「環境」というマクロレベルの生態系を考慮しなくなった時点で、わたしたちの社会は進んで新たな病原体の温床となることを運命づけられていたといえる。

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ウィズコロナ時代は、否が応でも「環境」と「身体」の関係性が問われることになる重大局面であり、これまでのエネルギー政策からライフスタイルに至るまでを見直す契機となるかもしれない。わたしたちが惰性で受け入れてきた既存のシステムに対する疑いが強まるにつれ、さまざまな異議申し立てが随所で噴出することになるだろう。

真鍋 厚 評論家、著述家

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まなべ・あつし / Atsushi Manabe

1979年、奈良県生まれ。大阪芸術大学大学院修士課程修了。出版社に勤める傍ら評論活動を展開。 単著に『テロリスト・ワールド』(現代書館)、『不寛容という不安』(彩流社)。(写真撮影:長谷部ナオキチ)

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