ただ、心配なのは通常の食費も明らかに増加傾向であることだ。食事を毎回三食作る必要があるため買う量が増えてしまうし、スーパーが混雑を避けるために特売や割引デーなどを中止しているので、節約自体が難しい。また、ステイホームのご時世では、安いスーパーを何軒も回るという行動もしにくい。
それだけではない。実感としてコロナ前より食品価格自体が上がっている。時短営業が続くとなれば、以前と同じ売り上げを確保するにはセールで人を集めるより売価を上げる選択に動くだろう。日常の食費予算は、やはりコロナ前よりも多めに見積もっておかなくてはいけない。
ただし、「グルメ取り寄せ用」は、毎日の食費に加算するより、非日常なレジャー費扱いがふさわしそうだ。単価も高いため、ここをむやみに増やすのは家計面でもダイエット面でも注意としたい。
他に増えている支出はやはり…
食費以外の支出の変化はどうだろうか。三井住友カードが発表した「コロナ影響下の消費行動レポート」によると、3月にクレジットカード決済件数が多かったのは、スーパーやホームセンターのほか、「ペット関連」「ECモール・通販」「通信サービス」。4月の緊急事態宣言以降になると「玩具・娯楽品」「ECモール・通販」「通信サービス」がさらに伸びている。
「玩具・娯楽品」にはゲーム機やゲームのダウンロード購入・スマホゲームの課金等を含んでおり、必需品中心の買い物に加え、次第に“おうちレジャー”支出がふくらんできている表れだろう。巣ごもりの慰めに電子書籍アプリや動画配信サービスを契約したという家庭も多いのではないか。
また、4月以降は家電量販店でのカード決済数も上がっており、テレワーク関連のデジタル支出だけでなく、ホットプレートや高機能調理器など“食レジャー”関連も買われているのではないかと推察している。
テレワーク支出は家計費というには微妙なので外すとして、玩具・娯楽や在宅教育に関わる支出は、コロナ前の「レジャー費」「教育費」と比較してみると増減の変化がわかりやすそうだ。なお、在宅率が高まることが原因で「水道光熱費」「通信費」「日用品(トイレットペーパーやティッシュなど)」は当然増えているはずで、特に水道光熱費は夏に向かって一段と膨らむことが予想される。
コロナ騒ぎが大きくなり始めた2月以来、3カ月が過ぎた。Withコロナの家計がどう変化したか、いったん集計してみるにはいいタイミングだろう。わが家の巣ごもり後の支出は増えているのか、減っているのか、あまり変化がないのか、俯瞰してみてほしい。
そのうえで、今後、減収時期に入る可能性も想定しつつ、コロナ以前の予算配分ではなく、変化後の支出にあわせた予算配分に見直したい。そして、これまで通りの貯蓄率がキープできるのか、ローンを払い続けて行けるか、現時点の見通しを立てておこう。
直近では、今後のボーナス減に備えるためにも、巣ごもり生活で以前より出が減っているはずの支出(被服費、レジャー費、交際費、小遣いなど)の一部は、いざという時用の資金としてキープしておくべきだ。家計の緊急事態は、しばらく後になってやってくると覚悟しておこう。
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