ロイヤルリムジンには解雇との整合性が見受けられない点が複数ある。ロイヤルリムジンの関係者が明かす。
「正直、会社側はここまでの大問題に発展することは予測していなかったと思います。甘くみていたところがあった。突然解雇を発表し、思わぬ形で世間やマスコミが反応したことで、退職同意書も後から急いで回収しようとした。
これまで買収によって拡大してきた会社で、本当の経営状況は経営陣しかわかりませんが、いきなり会社都合で解雇します、と言われても納得できない人が出てくるのは当然です」
さらに、ロイヤルリムジンが今年4月3日付で、兵庫県三田市に拠点を置くファイブスタータクシー株式会社を買収していることも明らかになっている。
筆者はその内部資料を入手したが、親会社となったロイヤルリムジン側から管理者が来るという記述も明記されていた。
この買収により、ロイヤルリムジングループは、東京都に5社、兵庫県に2社のタクシー業者を子会社として持っていたことになる。
果たして、600人の解雇という判断をした会社が直前に企業買収をするという判断は正しいといえるのだろうか。
休業・離職・継続の3択を迫る文書を通知
さらに、買収されたファイブスタータクシー株式会社は、買収からわずか10日後の4月14日に、従業員に対して雇用対策の通知を書面で行っている。その書面も同様に入手したが、そこには休業、離職、継続と3つの項目が記されていた。内容を読めば、「会社の存続ができない状況」ともいえる厳しい経営状況と乗務員への待遇悪化が見て取れる。
ファイブスタータクシーの関係者は、こう打ち明ける。
「いきなりの通知で驚きました。ましてや、買収が発表されて間もないタイミングで不安が募っていましたから。
市場環境や会社が厳しいのは充分承知しています。ただ、本質的には体のよいリストラみたいなものですね。
すでに会社を去った従業員もいます。会社側が乗務員という人的資源の価値を過小評価している。その認識がタクシー業界の賃金水準の低さや、仕事への誇りの低さにつながっていることが、ただただ悔しい……」
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