山間の建設会社が「キャビア」で世界を狙うワケ

三つ星シェフが高評価するチョウザメの卵

養殖したチョウザメと東濃建設有限会社の取締役、大山晋也さん(写真:大山さん提供)

木曽山脈と美濃三河高原に囲まれた岐阜県中津川市の獺之沢(おそのさわ)地区にある東濃建設。バブル景気に沸く1989(平成元)年に創業し、道路工事やダム建設、下水道工事などを手がけ、最盛期には年商2億2000万円を売り上げた。ところが、2009年頃から公共事業が激減。異業種への参入を模索する中、まったく畑違いの水産業に参入した。

はじまりは高級魚、ホンモロコの養殖から

「もともと社長である父親が趣味で錦鯉の養殖をしていたんです。私も子どもの頃、お小遣い稼ぎで餌を与えたりしていました。それが原点ですね」と話すのは、同社で取締役を務める大山晋也さんだ。

東濃建設外観(筆者撮影)

水産業への参入は、2010(平成22)年。近所に住む人からホンモロコの養殖を勧められて始めたのがきっかけだった。ホンモロコは小型の淡水魚で以前は盛んに漁獲されていたが、近年では漁獲量が減少。希少な高級食材として料亭でも用いられている。そんな現状を知った大山さんはホンモロコの養殖に乗り出した。

「養殖池は休耕田を転用することもできるのですが、本業である建設業の強みを生かして専用の養殖池を施工しました。さらに、水の一部を獺之沢の山水も使いました。獺之沢の自然環境を活かしながら生育環境を整えたおかげでホンモロコの養殖に成功しました」

1000平米の広大な養殖池(筆者撮影)

まさに手塩にかけて育てたホンモロコだったが、大山さんの予想に反してまったく売れなかった。岐阜県には鮎や鯉、ナマズなど川魚料理の専門店もあるが、ホンモロコを食べる習慣はなかったのだ。また、「昔、川でつかまえたことがある」という人も多かったが、それはタモロコなど異なる品種のモロコであり、ホンモロコが高級魚であるということも知られていなかった。

大山さんは地元のみならず東京や大阪の有名な日本料理店やフレンチ、イタリアンのレストランに足を運んだ。

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