次に私が「泣きましょう!」と言うと、子どもたちが泣き出します。「ウワーン、ウワーン」「アアー、アアー」「ウエーン、ウエーン」といった感じです。怒ったように泣き叫ぶ子もいれば、本当に悲しい感じで泣く子もいました。
次に私が「笑いましょう」と言うと、子どもたちが笑い出します。「アーハッハッハー、アーハッハッハー」「オーホッホ、ホッホッホー」といった感じです。怒っているのか笑っているのかわからないような、あるいはその中間のような笑い方の子もいます。身をよじるようにして全身で笑う子もいました。
最後の「笑いヨガ」は実際に世界的に行われています。日本でもけっこう行われていますから、やったことがある人も多いと思います。動画サイトには、実際のやり方がわかる動画がたくさん投稿されています。日本笑いヨガ協会によりますと、インド人医師Dr.マダン・カタリア夫妻が考案したそうです。最初の頃はまず面白い話をして、それをきっかけに笑っていたそうです。でも、すぐに話のネタが尽きてしまったので、それからは理由などなく、とにかく最初から笑うようにしたそうです。
笑いヨガには次のような効果があるといわれています。イライラやストレスが発散されて浄化される。気分が変わる。明るく快活になる。免疫系・神経系・内分泌系のすべてによい影響がある。免疫力が上がり心身が健康になる、など。
「怒」と「哀」をそのままにしておくのはよくない
さて、私は「怒りヨガ」と「泣きヨガ」の2つも「笑いヨガ」と同じように世界中に広がるとよいと思います。人間の基本的な感情である喜怒哀楽の中の「怒」と「哀」をそのままにしておくのは、心身の健康によくないからです。ですから、順番としても、まず最初に自分の中にため込んでいる、イライラ、怒り、悲しみなどの感情を「怒りヨガ」と「泣きヨガ」で外に放出するほうがよいと思います。そのうえで、最後に「笑いヨガ」をすればよいと思います。
子育て中の親も含めて、現代人は「怒ってはいけない。叱ってはいけない」「泣いてはいけない」「人前で涙を流すのはよくない」などと言われ、こういった感情を抑圧しています。私も教育評論家としてよくそういうことを言っている1人ですが……。それで多くの人たちが、イライラ、怒り、悲しみなどのストレスをため込んでいます。でも、ため込むにも限界があり、何かの拍子に堤防が決壊して一気に放出するといったことが起こります。
親の場合、その相手は子どもということになりがちです。冒頭で書いたようにストレスは弱い相手に向けられるからです。「勉強してない」「片付けてない」などというちょっとしたことが引き金になり、ため込んでいたものをすべて子どもにぶつけてしまいます。かわいそうなのは子どもです。親がため込んだまったく関係ないストレスを思い切りぶつけられてしまうのですから。
そういうことにならないためには、ため込んだものを純粋に放出することが必要です。誰かにぶつけるのではなく、それらを純粋に放出するのです。それが怒りヨガと泣きヨガです。
実際に私が経験したことですが、例えば、雨が降りそうで降らないどんよりした天気のときなどには、子どもたちのトラブルが増えるという実感がありました。そういうときは、2時間目の授業の最後の5分間を使って、怒りヨガ、泣きヨガ、笑いヨガをやりました。すると、2時間目の後に20分ある業間休みのときにトラブルが起きにくいのです。
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