日本の「水輸出ビジネス」が苦戦するワケ

インドで展開する水プロジェクト<第3回>

水のインフラ整備について日本は技術的な蓄積はあるが、ノウハウをそのまま海外に持って来ても、あたり前だが、使い物にはならない。必要になるのは、現地事情に対応する知識と力量だ。だが、北海道大学・共同政策学研究センターの遠藤誠作氏(元福島県三春町企画局長)は、それを担うべき人材の不足を指摘する。

「役所にいた人間には現地に合わせようという発想がない。意欲も能力もない。高い技術があっても、国内の閉鎖的な水道経験しかない。海外には通用しませんよ」

水の援助を必要としている途上国や、水ビジネスのチャンスがある新興国においては、水利権は古くからの慣行が多く、根を張る水利権構造とも対峙しなければならない。

基本的に日本の水事業者たちには、そうした海外に打って出るだけの人的資産がなかった。特にインドのような開発途上地域では、海千山千の相手と仕事が進められる人材と計画が求められる。海外水事業の苦境の一因をその欠如とする意見は、現実を見れば決して的外れなものではない。

パッケージ受注できない日本

少子高齢化に伴う人口減少によって、日本国内の水道使用量は50年後で約4割減、100年後には7割減との予測がある。水道収益の悪化、水道施設の老朽化など、水道事業を取り巻く環境は、今後、ますます厳しくなる。

新たな事業手法への転換が迫られる今、水ビジネスの海外進出は動き出している。

2010年には経産省ら3省庁が、上下水道技術の海外展開を推進するため「水インフラPPP協議会」を設置。水インフラの輸出は国の肝いりで、自治体と民間企業が共同参入する方向でも活発化を目指す。

日本の水事業の国際展開は、すでに欧米など先進各国に比べて出遅れている。日本が水をあけられた要因は、市場でウエートの高い運営管理分野で欧州企業に先行されている点にある。

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