ファストファッションのブランドのお店に入ると、「あれ、この服どこかで見たことあるな」とか、「このデザイン、○○の服にそっくりやん」、なんて感覚(デジャヴュ)に遭遇することがあります。
実は、これらのブランドでは多くの服を高級ブランドの最新コレクションやトレンドからコピーしています。実際に、とある記事の中で、某ファストファッションブランドのデザイナーがこう発言していました。
「ファストファッションのデザイナーの仕事は、ファッションショーを見ながら最新の服をコピーすること」と。
つまり、これらのブランドは意図的にコピーを行っています。さらに、大きな声では言えませんが、より精度の高い仕事(コピー)を行うために、破格の報酬で高級ブランドのデザインチームから人材を引き抜いたりもしています。そうして、よりクオリティの高い商品(=つまりコピー度が高い)を提供しているのは、業界の暗黙の了解です。もちろん、それだけで成功したわけではないという点はお断りしておきますが、少なくともデザイン面では、コピーすることで成功を収めたと言っても過言ではありません。裏を返せば、高級ブランドのコレクションやトレンドなしに、今ほどの成功はなかったということです。
ファストファッションに欠けている2つのこと
売上面、つまりビジネスとしてはいくら高級ブランドを追い抜こうとも、ファストファッションは、高級ブランドに勝てないものをはらんでいます。その中で、特に特徴的な2つをお伝えします。
ひとつめは、ファストファッションには、服を生みだす力がありません。誤解のないように補足しますが、服を生産し、売るノウハウはあります。ですが、単純に服を生産することと、新しい服やトレンドを生みだす能力は、イコールではありません。極端に言えば、生地があり、服のパターンや指示書を用意すれば、工場で服を生産することは可能です。ですが、それとコレクションデザイナーがまったく無のところから服を創造することは、全然、違います。クリエイティブでオリジナリティのある服を創ることが、ラグジュアリーブランドやデザイナーブランドの大前提です。ですから、ファストファッションはアパレルブランドと言った方がわかりやすいかもしれません。
注:新たな動きとして、最近H&Mがファッションウィークに参加し、よりクリエイティブなファッションブランドとしてシフトを図っています。
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