「能・狂言」の趣を知らない人に教えたい超基本 教養として学びたいならまず能楽堂に行こう
本舞台真上の天井は平らに張ってある。アト座の方は後ろ側、つまり鏡板に近いほうが低く、見所に向かって高くなっている。これがスピーカーなのだ。真下の囃子方の響きが天井板に達し、それを観客席の方にはね返す音響板の役目をはたしている。
楽器そのものも大きな音が出るが、かつて野外で遠くに響かせるために先人が工夫したのではないかといわれている。「なるほどなあ」と、建造物の構造から能舞台そのものを見学する楽しみがある。
チューニングから舞台が始まっている
さあ、そうやって開演を待っていると、どこからか笛や鼓の音が聞こえてくる。これが「お調べ」といって、能楽器のチューニングとも取れるが、ここから実は能が始まっているのだ。
開演ベルがけたたましく鳴らず、いつしか、その世界にいざなわれるためにも、独特の静けさが必要だ。慣れた観客はピタリと私語をやめるので、ここは素直に真似をしたい。だれですか、コンビニの袋を触ってるのは? 音の出る手荷物は厳禁。客席に入る前にロッカーへ収納したい。だいたい100円。コインが戻ってくるところもある。
「なにを細かいことまで言うのだ」という方もいるかもしれないが、前の客席との間に荷物を置くと、遅く入ってきた人のために、いちいち荷物をどけなければいけない。舞台を楽しむには、いささかせわしない気分に陥ってしまう。
これは能楽堂だけではない。コンサートホールや劇場でも角席、中央席に限らず、大きな手荷物は、持ち込まないのが観劇マナー。
とりわけ、能楽堂では、お互いに静けさを楽しむため、最低限の貴重品などを収めたバッグのみで見所に進み、開演を待ちたい。コインロッカーの場所を探したり、受付に預かってもらうなどするためにも、込み合わない時間、早めの入場をおすすめしたのも、おわかりいただけるだろう。
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