仰天!アフリカは、日本よりも物価が高い 貧しい国ほど、ビジネスにおカネがかかるのはなぜ?

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きっと、日本人の経験が役に立つ 

セネガルの織物工場。こういうアフリカの中小企業に頑張ってほしい

長くなりましたが、物価が高い!という強烈なディスアドバンテージを跳ね返して、西アフリカで成功を収めている経営者たちは、先進国の経営者に負けず劣らず、すごい人たちだと僕は心から思いますし、彼らとディスカッションすることで、アフリカで生きていくためのビジネスノウハウを学ぶことができ、とても勉強になります。

そして、この物価高だからこそ、日本の企業の知恵と経験がアフリカの地でも役に立つと思います。オイルショック、国内の人件費の向上、中国とのコスト競争など、厳しい環境を乗り越えて競争力を維持してきた日本のモノづくりのスキルと技術者魂は、西アフリカの産業界のコストを下げていくヒントになるでしょうし、コスト高と戦うアフリカの人々に勇気を与えるに違いありません。

また、日本のノウハウを通じて、西アフリカの製造コストが下がっていくとすれば、貧困の削減にも貢献することでしょう。今日のマリの人々は、貧しい中、はるばる内陸輸送されてきた高い商品を買わざるをえません。そして、せっかく生産した金などの天然資源を輸出して稼いだおカネが、食料や日用品の輸入に消えてしまい、国内に富が残らないのです。

アフリカの人々が、自分たちが食べたり飲んだりするものを、自分たちで作れるようになるのは、経済発展の第一歩だと僕は思います。そのために、銀行員として、また、製造業の国・日本から来た人間として、どんなお手伝いができるか、考える日々です。

※本稿は執筆者個人の意見であり、世界銀行グループの公式見解を示すものではありません。

 

小辻 洋介 International Finance Corporation(世界銀行民間投資部門)ケニア事務所勤務

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こつじ ようすけ / Yosuke Kotsuji

1977年福井県生まれ。2001年東京大学法学部卒業後、ゴールドマン・サックス証券会社投資銀行部門入社。企業の合併・買収や資金調達のアドバイザリー業務に5年間従事。2006年ハーバード大学経営大学院留学、2008年MBA(経営学修士)取得。同年、International Finance Corporation(世界銀行民間セクター部門)に入社。2009年よりセネガル(西アフリカ)事務所、2013年よりケニア(東アフリカ)事務所勤務。サハラ以南アフリカの農業・食品企業への株式投資・融資案件を手掛ける。

アフリカ・ビジネスに関するコンタクト先: yosuke.kotsuji.africa@gmail.com(全てのお問い合わせに回答させて頂くとは限りませんので、ご了承ください)

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