150人調査で見る「コロナ下の日本人」驚く変化 人間関係を見つめ、浮かび上がってきたもの

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もともとあった親子間の問題がさらに深刻化した人もいる一方、こんな心温まる回答もあった。

今まで父親が料理を用意してくれていたが、自粛期間、父親の仕事ぶりを在宅ワークを通じて見てから、夕食を担当するようになった。準備から実食、後片付けのすべての時間が気分いいと知った。食事を大切にするようになった(大学生・女性)

 

友人関係は意外にも…

友人関係においては、驚くことに複数の人から同じような回答が寄せられた。

ごく一部の友人関係が濃く、それ以外の友人関係がだいぶ薄くなった(40代・IT業)
会わなきゃ会わないでもそんなに寂しくない(塾経営)
友人にせよ、恋人にせよ、自分の中で今後も関係を続けたい人たちが明るみになった(30代・女性)
デマと捏造と妄想でSNSで怒りをまき散らす共通の知人について話しているうちに、普段あまり仲良くなかった友人ととても仲良くなれた(女性・会社員)
(友人関係が)消えた(大学生)
物の見方や受け取り方、困っている人への対応、自分と違う意見を持つ人への反応など、友人知人の今まで見えていなかった部分が良くも悪くも見えてきて、それぞれに対する距離感が変わりました。近くなった人もいれば、遠くなった人もいる(40代女性)

 

なんと多くの人が友人関係の整理、断捨離に成功し、清々しさを感じていた。これまでの日常が、いかに義理やしがらみに溢れていたかをたくさんの人が実感している。また現在のこの状況が、自分だけでなく、視界に入るほとんどの人に、同時に起きているというのもポイントのひとつのようだ。

もともと一人の時間が好きだったが、普段は無意識に社交的な友人と自分を比べて勝手に落ち込んだり、卑屈になったりしていた。今はみんな家にいる状況なので比べる対象がなく、安心して引きこもっていられる(大学生・女性)
人との接触回数・目に入る人数が激減したことで、孤独感やさみしさを感じなくなった。通勤や町でカップルを見れば羨ましく、友達と遊んでいる様子を見ては孤独を感じていたが、"他人"が視界に入らないことで、こんなにも心穏やかに過ごせることに驚いている(30代女性・外資系勤務)

 

回答にはなかったが、筆者の身近なところではここへきて「初めて結婚したいと思った」「婚活を始めた」という人がにわかに増えている。外出自粛要請に伴い、他人との広く浅い繋がりではなく、家族との深く確かな繋がりを欲する人が増えているのかもしれない。

アンケートの結果からは、新型コロナウイルスによって変わってしまった私たちの暮らしと、それでも変えられないものとの間で起きる悲喜こもごもが見えてきた。

次回記事では、仕事や消費傾向に起きた変化について紹介していく。

紫原 明子 エッセイスト

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しはら あきこ / Akiko Shihara

1982年、福岡県生まれ。男女2人の子を持つシングルマザー。 個人ブログ「手の中で膨らむ」が話題となり執筆活動を本格化。BLOGOS、クロワッサン オンライン、AMなどにて寄稿、連載。その他「ウーマンエキサイト」にて「WEラブ赤ちゃん」プロジェクト発案など多彩な活動を行っている。著書に『家族無計画』(朝日出版社)、『りこんのこども』(マガジンハウス)がある。

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