東京の飲食店「協力金50万円」でも雀の涙の苦難 悲痛な声を上げるオーナー、助けは間に合うか

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ウーバーイーツを使ったデリバリーやテイクアウトに舵を切る飲食店も多いがとても補いきれない(撮影:今井 康一)

東京都港区を中心に4店舗を展開するレストランのオーナー荒木さん(仮名)は「仮に2000万円の融資を受けられれば、2~3カ月持ちこたえることはできるけど……」とうなだれます。

日本橋でこじんまりした割烹を営む馬場さん(仮名)は、東京都からの休業や営業時間短縮などの協力要請に応じれば支給される「50万円をもらったところで仕入れの足しにもならない」と憤りを隠しません。「休めば売り上げはゼロだし、協力金もアテにならない。休業を選択するのは、座して死を待つような恐怖」と馬場さんは続けます。

新型コロナウイルスの感染拡大を抑えるために、7都府県に「緊急事態宣言」が出されたのが4月7日。17日からは全国に拡大し、北海道や愛知、京都など新たに6道府県を加えた13都道府県が「特定警戒都道府県」と位置づけられました。東京都ではゴールデンウィークの外出増リスクに先手を打つべく、4月25日からの2週間を「ステイホーム週間」とし、さらに徹底して自宅にとどまるよう呼び掛けています。

一方で、会社の業績悪化や経営破綻で仕事を失った人は2月から先週までで3076人に上ると、厚生労働省から発表がありました。非正規雇用者が多い飲食業などが多くを占めています。外出自粛で売上激減の飲食店。経営者としてやむなく雇用を切る。雇い止めされた労働者の収入はゼロ。いま飲食業界は最悪の危機に瀕しています。

飲食店は生活インフラ

緊急事態宣言下において、飲食店は病院やスーパーマーケットなどと同じ生活インフラとして「社会生活を維持するうえで必要」という位置づけになっています。営業時間の短縮要請はあるものの営業は可能と判断されたことは、ひとまず飲食業界にとっては朗報でした。しかし「徹底した外出自粛」が要請される状況で外に出ている人が激減。通常の売り上げの半減は当たり前、中には8割~9割減という飲食店も少なくありません。営業可能だと判断されたものの、実際のところは、非常に悩ましい状況に置かれているのです。

東京都は、新型コロナウイルスの感染拡大防止対策で、休業や営業時間短縮の協力要請に応じた飲食店を対象に申請受付を開始。支給額は、単独店舗の事業者の場合は50万円、複数店舗を持つ場合は100万円となっています。しかしながら冒頭で紹介した荒木さんや馬場さんが話すように都心で店舗を運営するコストを鑑みると、この支給額ではまったく足りないという声が絶えません。

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