「パン消費量日本一」京都人の意外すぎる食事情 「進々堂」「SIZUYA」など名物店の魅力も紹介
この町で、天然酵母のパンを売っている店を見ることはまずない。もちろん、天然酵母であろうが、小麦を使っているのは同じなので、糖尿病にいいということはない。ただ、小麦をイーストで膨らませたパンよりも堅い分、多少消化吸収が遅くていいかなという程度である。
とにかく、京都市の中心部で「天然酵母」を謳った看板はあまり目にしたことがない。東京では20年ほど前に天然酵母ブームがあり、店主が講習会をよく開いていた。京都では、全粒粉、雑穀入り、ライ麦のパンもほとんど見かけない。
京都人が健康よりも美味しさのほうに比重をかけていることが、パンの種類でもよくわかる。単純に美味しいほうがいいという判断なのだろう。「柔らかい」「甘い」という特徴のほうが京都のパンらしい。パンのみならず、京都人は東京人のように健康志向ではない。
健康ブームは、東京の文化である。それと、一過性の観光客にアピールするのは、手軽に加工できるイーストのパンのほうがいい。新作を次々に見せていかなければならない京都のパン店には、天然酵母のパンは手がかかりすぎるのである。
東京人とはまるで違う京都人の味の好み
ワコールが2019年度に発表した調査に、次のようなものがある。京都の20代から30代の女性は、東京の女性たちに比べてカロリー不足だとのこと。そして、東京の女性に比べると、脂肪が多く、筋肉が少なく、野菜、果物不足なのだという。
さらに朝食を摂らない層が、28%もいるらしい。間食は京都のほうが頻度が高く、ほぼ毎日で、栄養バランスよりも「美味しさ」を優先しているようだ。京都人のパン食の多さと、素直につながるデータのような気がする。
東京人の嗜好とは違う傾向はまだある。スーパーで8枚切りの食パンを見ることが少ないことだ。薄切りでは、京都人はパンを食べた気がしないそうなのだ。10枚切りは8枚よりも多く見かけるが、それはサンドイッチに使用するためであるという。6枚切りが一般的なようだが、もっと厚さを求める層もいるらしいのは、このあと述べる喫茶店系のサンドイッチを注文するとわかる。
糖尿持ちの人間はパン食を避けるべきであるが、私の行きつけのパン店といえば、寺町通竹屋町の「進々堂寺町店」と、地下街の「CASCADE」になる。
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