日本人よ、「語学マゾ」は、もうやめよう 元イェール大助教授が伝授!最強の英語勉強法(2)

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私たちはなぜ自転車に乗るのか?

――手段と目的とを混同してしまう人がいるということですね。

すでにいろんな方が指摘していることですが、語学って、考え方としては「自転車の乗り方をマスターする」という感覚に近いと思います。

スポーツでやる人ならいざ知らず、自転車にうまく乗れるようになるために、何十年もずっと練習している人はまずいないですよね。同じように、自転車の練習そのものに快感や達成感を見出している人もいない。

ただ、自転車に乗れると行動範囲が広がって便利だから、「ちょっとやってみようかな」という気持ちではじめるのが普通です。

最初は補助輪をつけて公園などの敷地で練習しますが、ある程度のレベルになったら、公道を走りますよね。

語学もまったくそれと同じ。ところが、中学・高校・大学と、何年にもわたって英語を学んでいるのに、いつまで経っても公園の中をぐるぐると走っていて、外の世界に飛び出していこうとしない人があまりに多い(笑)。

「これってすごくヘンだな」という思いは、当時からありました。

――学習者本人はコツコツとがんばっているつもりでも、目標の設定がうまくいっていないというケースですね。

日本人はとくにそうした「苦行信奉」が強いように思います。いくら毎日訓練を続けていても、方法が間違っていれば、はっきり言って「ムダ」です。

えらく時間がかかるから、とても大変。でも大変だから、達成感はある。がんばっている気分になれるから、「続ける」ことができてしまう。そういう悪循環があると思います。

イェールには「発音矯正プログラム」が用意されている

だからと言って、基礎をないがしろにしていいというわけではありません。前回もお話ししましたが、「何が語学習得の最短ルートなのか」については、世界の標準的な応用言語学の世界では、ある程度コンセンサスのとれた結論がすでに出ていると思っています。

それに沿って効率よく基礎を固め、あとはそれぞれが好きな方向に走りはじめればいいんです。

――具体的には、どんな方法なのでしょうか?

あえてひと言でまとめるなら、「徹底した発音トレーニング」と「動画教材を使ったインプット&アウトプット」の2本柱ですね。

「動画」の重要性については次回以降でお話しするとして、何よりもまずは「発音」です。発音こそはすべての語学学習の土台だと言っていい。

私自身、イェールの博士課程にいたころには、発音について多くを学ぶ機会がありました。イェールなど米国の大学では、学部生向けの授業を大学院生が受け持つことが多いのですが、非ネイティブの院生がいきなり講師になると、授業がうまくいかないことがあるんです。

そのため、非ネイティブの講師向けに「発音矯正プログラム」というものを大学側が用意しています。私も興味があって、これを受講してみたことがあるんですよ。

プログラムを担当しているのは、音声学の分野でPh.D.(博士号)を取得したような方たちですから、非常にわかりやすく発音のコツを教えてもらえます。彼らは英語だけでなく、いろいろな言語の音声に精通しているので、「日本人ってこの音を出すときに、どうしても舌がこの位置に来ちゃうんですよ。だから、もう少しこちら側にずらすように意識するといいですよ」というようなアドバイスができるんですよね。

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