さて、2014年度の日本経済はどうなるのか。端的に言って、輸出次第ということになると思う。これまでの日本経済は、景気回復はもっぱら輸出主導型であった。企業部門が良くなっても、家計部門は良くならないから個人消費が伸びない、というのがお定まりのパターンであった。
日本経済の「主砲」は、いつ復活するのか
ところが今回の景気回復局面は順序が逆である。アベノミクス以降、個人消費は活況を呈しており、公共投資も地方の景気を下支えしている。ところが円安にもかかわらず輸出は思ったほど増えず、逆に輸入が堅調な内需を背景に伸び続けている。このため純輸出がマイナスとなって、景気回復の足を引っ張っている。
いわば今の日本経済は、主軸打者に当たりが出ていないにもかかわらず、1,2番や下位打線が頑張って得点しているような状態だ。今シーズンは是非とも、主砲の復活に期待したいところである。
しかるに貿易の世界で起きている変化には、商社エコノミスト歴の長い筆者もつくづく驚くほどである。2月の貿易統計は輸出が5.8兆円、輸入が6.6兆円で約8000億円の赤字。これで赤字は20か月連続で、暦年ベースでも3年連続の赤字となった。2013年の輸出は69.8兆円で、輸入は81.3兆円。差し引き11.4兆円の赤字であるから、ほぼ「毎月1兆円」ペースで赤字を出し続けていることになる。
おそらく全国の小中学校では、今でも社会科の授業などで「日本は原料を輸入して製品を輸出する加工貿易の国」と教えているだろう。「狭い国土に多くの人が住んでいるから、食料やエネルギーを確保するために、工業製品を輸出しなければならない」とも。あるいは、「日本の貿易黒字が海外の雇用を奪っている」と諸外国からバッシングを受けた、通商摩擦問題も教えられているかもしれない。
だがそれらの知識は急速に時代遅れになりつつある。以下、貿易の現場でどんなことが起きているかをご紹介しよう。
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