孫正義、「1兆3500億円赤字」に立ち込める暗雲 2号ファンド組成不能に、注目の5月18日決算

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カギとなるのはSVFだが、SBGの孫正義会長兼社長はアメリカの経済誌フォーブスの電子版インタビュー(4月6日付け)で、「(SVFの出資先88社のうち)15社は破産するだろう」と述べた。

SVFの出資先のうちウィーワークが運営するシェアオフィスは新型コロナウイルスの影響で客足が遠のき、インドのホテルチェーン運営会社OYO(オヨ)は空室率の上昇を受けて数千人規模の従業員の一時帰休を決めたという。ウィーワークの取締役2人は、自身が保有するウィー株の買い取りを履行しなかったとして、株買い取りを履行するようにSBGを提訴した。

エリオットと組んで非上場化を検討

孫社長にとっては、巨額赤字よりも投資事業の不振のほうが痛いはずだ。投資事業がうまく行っていないことが周知の事実となり、資金調達を2019年中にも終えるつもりだったSVFの2号ファンドを組成するのは事実上不可能になったからだ。

孫社長は2月12日の決算説明会で、2号ファンドは自己資金で先行して投資を始め、そこで実績を示した後に出資者を募るという青写真を示していた。だが現在では、投資資金が集まらないばかりか、自己資金での先行投資も凍結したと伝えられている。SBG広報部は「2号ファンドの進捗状況についてはコメントしていない」という。

SBGはサウジアラビアのオイルマネーを引き込み、SVFの1号ファンドを組成した2017年以降、通信事業会社から投資会社への脱皮を図ってきた。だが、2号ファンドを当面組成できないとなれば、投資会社SBGとしての存在意義が問われかねない。

今回の巨額赤字の元凶となったSVFは、投資先の企業名は開示されているが、個別の投資金額は開示されておらず、投資実態はわかりにくい。SBG株を約3%保有するアメリカの著名アクティビスト「エリオット・マネジメント」はSVFの透明性向上を要求。エリオットと組んで非上場化を2月に検討したと伝えられる。

エリオットが要求しているSVFの透明性向上を孫社長が拒み続けるならば、エリオットは「情報開示を頑として拒むなら非上場化すべきだ」と主張するだろう。そこでSBGの非上場化が再び現実味を帯びてくるかもしれない。

一方で、エリオットが要求する2兆円規模の自社株買いや社外取締役の増員などについて、孫社長はすでに実行を確約。6月にも開催される見込みの定時株主総会で、少なくとも3人の社外取締役候補を提案するとしている。 

通信子会社ソフトバンクの翌日に行うのが通例だったSBGの決算。5月11日のソフトバンク決算から1週間後の5月18日にSBGは2020年3月期決算を開示する。この場で孫社長は何を語るのだろうか。

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