トイレを40人で共有「ロヒンギャ」に迫る危険

難民キャンプでは、コロナ対策はほぼ皆無

ミャンマーで迫害されバングラデシュの難民キャンプに暮らすロヒンギャの人々もも、ミャンマーにとどまったロヒンギャの人々もコロナウイルスには脆弱な環境に身を置いている(写真:REUTERS/Mohammad Ponir Hossain)

世界で新型コロナウイルスの感染拡大が続く中で、懸念されるのが難民キャンプなどでのクラスター(集団感染)発生だ。ミャンマー治安当局から迫害を逃れるために、隣国バングラデシュに避難している少数派イスラム教徒のロヒンギャ族もその脅威にさらされている。

ミャンマー西部のラカイン州から避難してきたロヒンギャ族の多くは目下、バングラデシュ・コックス・ バザールなどの難民キャンプでの生活を余儀なくされている。このキャンプでは小さいテントに多人数の家族が同居するという生活環境にもかかわらず、コロナ対策はほぼ取られていない。医療設備や医薬品も慢性的に不足しており、感染者が出ればあっという間に広がり、多くの人が犠牲になりかねない状況だ。

狭いシェルターに7人が同居

4月17日現在、バングラデシュの感染者数は1572人、死者は60人に上る。中東の報道機関「アルジャジーラ」などによると、これまでにインド経由でたどり着いたロヒンギャ族の家族が国連のコロナ検査で陽性と判断されてキャンプへの立ち入りを止められたほか、キャンプ周辺のバングラデシュ住民の女性が感染したとの報告がある。ただこれまでのところキャンプでの感染者は確認されていないという。

現在、コックス・バザールへの立ち入りは制限されている。が、キャンプには毎日多くの支援者や活動家、周辺の住民が支援活動や労働のため出入りしている状態だったため、キャンプのコミュニティーリーダーの一人はアルジャジーラなどに対し、「1人の感染が確認されれば、感染は野火のように一気に広がるだろう」と懸念を示している。

キャンプではせっけんが配布され、入念な手洗いが呼びかけられているものの、マスクや消毒用アルコール、簡易体温計、防護服はほとんどなく、医療支援も極めて限定的な状態という。

キャンプに家族で暮らす詩人で作家のMayyu Ali氏は4月上旬、タイム紙に寄稿し、「われわれにとってソーシャル・ディスタンスや自己隔離は幻想のようなものだ。私は家族7人で5メートル四方の防水シートの中で暮らしている。こうした粗末なシェルターは、1マイル(約1.6㎞)四方に10万人が住むと言われるほど人口密度の高いこのキャンプでは標準の家とされている」と書いている。

アルジャジーラによると、「何より大きいのはキャンプのロヒンギャ族は、コロナウイルスについての情報、知識が不足していることだ」と、別のコミュニティーリーダーは話している。バングラデシュ当局によってキャンプ地域ではインターネットへの接続が制限されているため、コロナウイルスに関連した生のニュースや情報が得られない状況が続いているというのだ。

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